子供の名字の変更の手続き|子の氏の変更許可申立てから戸籍届までを司法書士が解説|改名改姓相談.com

子供の名字の変更の手続き|子の氏の変更許可申立てから戸籍届までを司法書士が解説

親が離婚などによって氏の変動があった場合、子供の名字がどのように扱われるのかは、戸籍の制度上、分かりにくいと感じられることが少なくありません。

親の氏の変動と子の氏の関係は、親の氏が変動した理由や、子の戸籍の状態によって扱いが異なり、家庭裁判所での手続きと戸籍の手続きが組み合わさることで、全体の流れが分かりにくくなりがちです。そのため、手続きに進む前に、親子それぞれの戸籍の状況を確認したうえで整理することが重要になります。

この記事では、子の氏の変更許可がどのような制度なのか、どのような場面で利用されるのか、そして申立てから戸籍への反映まで、どのような流れで進むのかを、制度の考え方に沿って整理します。

子の氏の変更は「家庭裁判所の許可」と「戸籍届」の二段階で行われる

子の氏の変更の手続きを理解するためには、まず、親の氏が変更された場合に、子供の氏にどのように影響を及ぼすのかを整理しておく必要があります。

戸籍制度上、親の氏の変更が子供の氏にそのまま反映される場合と、そうでない場合とがあり、その違いによって、その後に必要となる手続きが異なります。

まずは、子の氏が自動的に変更される場合と変更されない場合とを整理したうえで、なぜ家庭裁判所の許可や戸籍届の手続きが必要となるのかを順に確認していきます。

子の氏が自動的に変更される場合と、されない場合

親の氏が変更された場合に、子供の氏がどのように扱われるかは、戸籍制度上、「自動的に変更される場合」と「自動的には変更されない場合」とに分かれます。

子供の氏が自動的に変更されるのは、親が戸籍法107条1項に基づいて氏を変更し、かつ、その親と子供が同じ戸籍に在籍している場合に限られます。この場合には、親の氏の変更にともなって、子供の氏も同時に変更され、別途、子供について家庭裁判所の許可を得たり、戸籍の届出を行ったりする必要はありません。

一方で、親の氏が変動したとしても、子供がその親とは別の戸籍に在籍している場合や、氏の変動が戸籍法107条1項によるものではない場合には、親の氏の変更の効果は子供の氏には及びません。この場合、子供の氏は自動的には変更されず、引き続き従前の氏を称することになります。なお、子供が在籍する戸籍に影響はありませんが、戸籍の父母欄に記録された親の氏名については、親の氏の変更が反映されることがあります。

すなわち、実務上は「戸籍法107条1項に基づく氏の変更で、かつ親子が同籍している場合」を除き、親の氏の変更にともなって、子供の氏も変更するためには、家庭裁判所の許可を得たうえで、所定の戸籍届の手続きを行う必要があります。

したがって、子の氏の変更を検討する際には、まず、親の氏がどのような理由・手続きによって変更されたのか、そして、その時点で子供がどの戸籍に在籍しているのかを確認することが出発点となります。

家庭裁判所の許可が必要とされる理由

前の項で整理したとおり、親の氏の変更の効果が子供の氏に自動的に及ばない場合には、子供の氏を変更するために、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

家庭裁判所の許可が求められる理由については、子供の氏の変更が、親の意思のみで一方的に決められるべきものではなく、関係者間の利害関係を調整する必要があると考えられています。

子の氏の変更許可制度の趣旨は、主として関係者間の利害対立の調整を図ることにあると考えられる一方で、氏が家名として強い意味を持っていた時代の因襲的な感情に基づく変更が濫用されることを防止する点にもあると説明されています。

すなわち、家庭裁判所の許可は、子供の氏の変更そのものを制限することを目的とするものではなく、現在の戸籍上の状態や関係者との関係を踏まえたうえで、氏の変更が制度上相当かどうかを確認するための仕組みとして位置づけられており、家族関係の評価や親の判断の是非を断じるものではありません。

許可後に戸籍届が必要となる理由

家庭裁判所の許可を得ても、それだけで子供の氏が変更されるわけではありません。子供の氏を実際に変更するためには、許可に基づいて、所定の戸籍届を提出する必要があります。

これは、戸籍法107条1項の氏の変更や107条の2の名の変更と同様に、家庭裁判所の許可が、変更の可否を判断する手続きにとどまり、戸籍の記載そのものを変更する効力までは有していないためです。

戸籍制度においては、身分関係や氏名の変更は、原則、戸籍の届出をもって効力を持つものがほとんどです。そのため、家庭裁判所の許可を得た後も、別途、市区町村長に対して戸籍届をする必要があります。

この戸籍届は、家庭裁判所の許可によって判断された内容を前提として、子供の氏の変更を戸籍に反映させるための手続きであり、戸籍届の段階で、改めて氏の変更の可否や理由が審査されるものではありません。

すなわち、子の氏の変更の手続きは、原則として家庭裁判所による許可と、その後の戸籍届という二つの段階を経て完了するものであり、いずれか一方のみでは足りない点に注意が必要です。

参考:民法791条

(子の氏の変更)
第七百九十一条
 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。

 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。

 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。

 前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。

参考:戸籍法98条

第九十八条 民法第七百九十一条第一項から第三項までの規定によつて父又は母の氏を称しようとする者は、その父又は母の氏名及び本籍を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。

 民法第七百九十一条第二項の規定によつて父母の氏を称しようとする者に配偶者がある場合には、配偶者とともに届け出なければならない。

子の氏の変更許可が問題となる典型的な状態

前章で整理したとおり、親の氏に変動があった場合でも、その効果が子供の氏に自動的に及ぶとは限りません。そのため、実務上は、現在の戸籍上の状態によって、子の氏の変更許可の手続きを検討する必要があるかどうかが分かれます。

もっとも、親の離婚や再婚、養子縁組などの出来事と、子の氏の変更許可の要否とは、必ずしも一致しません。家族関係の変動そのものではなく、親子それぞれがどの戸籍に在籍しているのか、また、どのような経緯で氏が分かれているのかといった点が重要になります。

そこで、以下では、子の氏の変更許可が問題となりやすい代表的な戸籍上の状態を、典型例ごとに整理します。ここでは、氏の変更が認められるかどうかや、許可が得られるかどうかを判断するのではなく、どのような状態にある場合に、この手続きを検討する必要が生じるのかという点に着目します。

父母の離婚後に、子が婚姻中の戸籍に残り続ける状態

父母が離婚した後でも、子供は従前からの戸籍に残ります。離婚によって親の婚姻関係は解消されますが、子供は、引き続き婚姻中に編製された戸籍に在籍します。

そのため、離婚によって婚姻中の戸籍から除かれる配偶者が、離婚により旧姓に復する場合であっても、あるいは、戸籍法77条の2の届出により婚姻中の氏を称する場合であっても、子供の戸籍には影響は及びません。

この状態は、戸籍制度上予定されている状態であり、ただちに子の氏の変更や戸籍の移動が必要となるわけではありません。

もっとも、離婚後、新たに戸籍を編製した親が、子供をその戸籍に入れたいと考える場合には、子の氏の変更許可の手続きが必要となります。

この父母の離婚後に子供が婚姻中の戸籍に残っている状態は、子の氏の変更許可が検討・利用されるもっとも典型的な場面です。

父又は母の再婚後に、子が従前の氏を称している状態

同じ戸籍にいる父又は母が再婚した場合であっても、子供の氏や戸籍には影響がありません。再婚により親に新たな婚姻関係が成立しても、子供は、従前から在籍している戸籍に引き続き在籍し、従前の氏を称し続けることになります。

この状態も、戸籍制度上予定されているものであり、再婚したことのみを理由として、直ちに子の氏の変更や戸籍の移動が必要となるわけではありません。

しかし、再婚後、新たに編製された親の戸籍に子供を入れ、同一の氏を称させたいと考える場合には、子の氏の変更許可の手続きの範疇になります。

もっとも一般的には、再婚相手との間で養子縁組が検討され、その結果として、子供が養親の氏を称する場合が少なくありません。

父と母が婚姻しておらず、子と父の氏が一致していない状態

父と母が婚姻していない場合、子供は、出生により当然に母の戸籍に入籍し、母の氏を称します。戸籍上、父の氏名が記録されていても、子供の氏は母の氏となり、父の氏と一致しません。これは、父の認知の有無にかかわらず変わりません。

そして、その後、父母が婚姻しないまま、子供が父の氏を称したいと考える場合には、子の氏の変更許可の手続きが問題となります。

この状況において、子の氏を父の氏にするため、父の戸籍に入ることは、実務上検討されるものの、父の戸籍の状況や親族関係によって、裁判所の許可を得ることが難しく、手続きを断念せざるを得ない場合もあります。

もっとも、その後の状況の変化によっては、戸籍法107条1項に基づく氏の変更が検討の対象となることもあります。

親の氏が養子縁組・離縁により変わったため、子と親の氏が一致していない状態

父又は母が養子縁組をしたことにより氏を変更した場合であっても、その効果が直ちに子供の氏に及ぶわけではありません。親の養子縁組は、あくまでその親自身の身分関係の変動であり、子供が在籍している戸籍や子供の氏は、原則として従前のまま維持されます。

また、その後、養子縁組を解消するために離縁がされた場合であっても、縁組時と同様に、親の氏の変動が子供の氏に自動的に反映されることはありません。その結果として、親と子供とで氏が一致しない状態が生じることがあります。

このような状態も戸籍制度上予定されているものであり、親の養子縁組や離縁があったことのみを理由として、直ちに子の氏の変更や戸籍の移動が必要となるわけではありません。

もっとも、養子縁組や離縁後の生活関係の実態などを踏まえ、親と子供とで同一の氏を称する関係を形成したいと考える場合には、子の氏の変更許可の手続きが問題となります。

このように、親の養子縁組又は離縁を契機として親子の氏が一致しなくなった状態は、他の類型と同様に、現在の戸籍上の状態や親子関係の実態を踏まえて判断されることになります。

親権者の変更後に、子を新しい親権者の戸籍に入れる場合

離婚後に親権者が変更された場合であっても、それだけで子供の氏や戸籍が自動的に変更されることはありません。親権は、子供の監護や教育、財産管理に関する権限を定める制度であり、氏や戸籍の帰属を直接定めるものではないためです。

そのため、親権者が変更された後も、子供の戸籍に親権者の変更が記載されるにとどまり、子供は従前の戸籍に残り、従前の氏を称し続けることになります。この状態も、戸籍制度上予定されているものであり、親権者の変更があったことのみを理由として、直ちに子の氏の変更や戸籍の移動が起こるわけではありません。

もっとも、親権者の変更により子の監護を担う立場となった親が、子供を自らの戸籍に入れたいと考えることがあります。その背景には、親としての位置づけを明確にしたいという意向に加え、日常生活や各種手続との関係を整理したいという事情が含まれる場合もあります。

しかし、こうした意向や事情があるとしても、親権者の変更のみを理由として子供の氏や戸籍を変更することはできず、その実現を図るためには、子の氏の変更許可の手続きが問題となります。

このように、親権者の変更後に子を新しい親権者の戸籍に入れる場合は、親権の変更とは別に、子の氏の変更許可という制度を通じて手続きをする必要となります。

父の死亡後に、母が復氏したため、子と母の氏が一致していない状態

父が死亡した後、母が復氏を届出た場合は、母について戸籍の変動が起こります。しかし、子供の戸籍にはなんら影響を及ぼさず、子は従前の氏を称し続けます。

そのため、母が復氏した結果、母と子供とで氏が一致しない状態が生じることがあります。この状態も、戸籍制度上想定されているものであり、母が復氏したことのみを理由として、直ちに子の氏の変更や戸籍の移動が必要となるわけではありません。

もっとも、父の死亡後の生活関係の実態や、母と子供が同一の氏を称する必要性を踏まえ、母の戸籍に子供を入れたいと考える場合には、子の氏の変更許可の手続きが問題となります。

このように、父の死亡後に母が復氏したために子供と母の氏が一致しない状態についても、離婚後のケースと同様に、現在の戸籍上の状態や生活関係の実態を踏まえて判断されることになります。

子の氏の変更許可を申し立てる前に確認すべき重要な注意点

子の氏の変更許可は、親の身分関係や戸籍の変動があれば直ちに利用できる制度ではなく、前提となる一定の状態を踏まえて検討される制度です。

もっとも、この手続きは、戸籍上の状態や申立ての時期、関係人の有無など、いくつかの重要な前提条件や制約があります。

これらを正しく理解しないまま手続きを検討すると、そもそも申立てができない場合や、制度上想定されていない方法を前提に考えてしまうこともあります。

そこで本章では、子の氏の変更許可を申し立てる前に、あらかじめ確認しておくべき重要な注意点について、制度の整理を中心に解説します。

なお、未成年のときに子の氏を変更した場合には、成年に達した後、一定期間内であれば従前の氏に復することができる制度もあります(民法791条4項)。

参考:民法791条

(子の氏の変更)
第七百九十一条
 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。

 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。

 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。

 前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。

子の氏の変更に家庭裁判所の許可は必要か

子の氏を変更するためには、原則として、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

民法791条1項は、子が父又は母と氏を異にする場合には、家庭裁判所の許可を得たうえで、戸籍の届出をすることによって、その父又は母の氏を称することができると定めています。

そのため、子の氏を父又は母の氏に変更しようとする場合には、特段の例外に該当しない限り、家庭裁判所の許可を前提として手続きを検討することになります。

この特段の例外とは、父母の氏の変更後も父母が婚姻を継続している場合には、家庭裁判所の許可を要しないとするものです。

この場合、戸籍法の定めるところにより届出をすることで、子は父母の氏を称することができます(民法791条2項)。

この規定は、親の氏の変更によって生じた氏の不一致について、婚姻中という限定された場面においては、裁判所の関与を要しない簡易な調整を認める趣旨の例外規定と位置づけられています。

したがって、子の氏の変更を検討する際には、現在の子供と親の戸籍の状態を確認したうえで、原則どおり裁判所の許可が必要になるのか、例外に該当するのかを確認することが最初のポイントになります。

子の戸籍が変動したあとは、原則としてこの手続きを利用できない

子が自らの意志で戸籍届をして、自身の戸籍が変動した後は、原則として、子の氏の変更許可手続きを利用することはできません。

たとえば、分籍した後や婚姻や養子縁組によって戸籍が変動した後には、この手続きで親の戸籍に戻ることはできません。しかし、父母の離婚後に母の戸籍に入った後に、再度、父の戸籍に入り父の氏を名乗ることは可能です。

また、筆頭者の氏を名乗る婚姻をした人が離婚後に、あるいは、養子が離縁した場合は、この手続きによらず婚姻前・縁組前の氏になります。

もっとも、子の戸籍が変動した後であっても、その後に父又は母の氏が変更された結果、子と親との間に新たな氏の不一致が生じた場合には、この申立てをすることができます。

ただし、この場合であっても、筆頭者の氏を名乗る婚姻をした子供や、養子縁組により養子となった子供は、この手続きの対象とはなりません。

養子となった子供、配偶者の氏を名乗る婚姻をした子供は、この手続きを利用できない

子供自身が身分行為等によって氏や戸籍を変動させた場合には、子の氏の変更許可の手続きの対象とはなりません。

たとえば、子供が養子縁組により養子となった場合には、通常、子供は養親の戸籍に入り、養親の氏を称することになります。この状態は、子自身の身分関係の変動によって形成されたものであり、その後、親の氏が変動した場合であっても、この手続きを利用することができません。

同様に、子供が配偶者の氏を称する婚姻をした場合も、婚姻によって新たな戸籍に入籍し、配偶者の氏を称することになります。この場合も、婚姻という身分行為によって氏と戸籍が確定しているため、子の氏の変更許可の申立てを行うことはできません。

この場合においても、養子縁組が離縁によって解消された場合や、婚姻が離婚によって解消された場合には、子の氏の変更許可によらず、縁組前又は婚姻前の氏に復することになります。

もっとも、養子縁組後に養親の氏が変更された場合には、親の氏の変動に起因する不一致として、子の氏の変更の手続きの対象となります。

小まとめ|子の氏の変更許可を申し立てる前の戸籍確認

子の氏の変更許可は、いつでも利用できる制度ではなく、現在の戸籍の状態を前提として検討される手続きです。

原則として家庭裁判所の許可が必要ですが、父母の婚姻中等の場合に例外が認められます。また、子が分籍や婚姻などにより自らの戸籍を変動させた後は、原則としてこの手続きを利用することはできません。

そのため、申立てを検討する際には、まず子と親の戸籍の関係、これまでの戸籍届出、そして状態を整理することが重要です。

子の氏の変更許可手続きの全体像

ここからは、子の氏の変更許可の具体的な手続きの流れを整理します。

子の氏の変更は、家庭裁判所に対する申立てと、その後の戸籍届という二段階で進みます。以下では、家庭裁判所での申立てから許可後の戸籍への反映まで、順を追って確認します。

申立ての準備と家庭裁判所への申立て

子の氏の変更許可の申立ては、子本人が行う手続きです。もっとも、子が15歳未満である場合には、親権者などの法定代理人がこれに代わって申立てをします。

申立てにあたっては、子と親の現在の戸籍を用意する必要になります。過去に複数回戸籍の変動がある場合には、過去にさかのぼって戸籍が必要になることもありますが、これまでの戸籍の変動状況によって異なるため、事前に整理しておくことが重要です。

申立ては、子の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。申立書には、子が親の氏と異なることになった原因とその日付、申立てをする経緯などを記載します。

この手続きでは、まず、親の氏と一致しなくなった原因と現在の戸籍上の状態が制度上どのように整理されるかが重要となります。あわせて、なぜ現在の時点で申立てを行うのかという事情についても、合理的に説明することが求められます。

申立て後の家庭裁判所での手続きの流れ

家庭裁判所に申立てをすると、まず申立書の内容と添付された戸籍が確認されます。不足している資料がある場合には、追加提出を求められることがあります。

その後、裁判所は、現在の戸籍の状態や、親の氏と異なることになった経緯などを前提として、制度上許可が相当かどうかを検討します。

子の氏の変更許可の申立ては、制度上の整理が中心となる手続きです。そのため、戸籍関係や経緯が明確である場合には、迅速に手続きが進みます。特に、当事者が裁判所に出頭し、現在の戸籍や状況が明確な場合には、その日に許可がされることがあります。

また、親の戸籍に利害関係を有する同籍者がいない場合には、照会や期日の指定が行われることは多くありません。

もっとも、戸籍関係が複雑である場合や、親族関係に調整を要する事情がある場合には、追加の事情説明が求められたり、関係者に照会が行われることがあります。

家庭裁判所の許可後に行う戸籍届

家庭裁判所の許可を得ただけでは、子の氏は変更されません。これを戸籍に反映させるためには、戸籍法の定めに従い、市区町村長に届け出る必要があります。

提出する届書は、「子の入籍届」と呼ばれるものです。ただし、この届出によって生じる戸籍上の処理は一様ではありません。

親の戸籍に入る場合もあれば、戸籍の構成上、親の戸籍に入ることができず、親の氏を称する新戸籍が編製される場合もあります。

この届書は記載事項が複雑で、戸籍の状況によって記入内容が異なります。届出の際には、家庭裁判所の審判書を持参し、窓口で内容を確認しながら記入することをお勧めします。

小まとめ|申立てから戸籍届まで

子の氏の変更は、家庭裁判所への申立てと、その後の戸籍届という二段階の手続きを経て完了します。

許可がされただけでは氏は変わらず、必ず市区町村への届出が必要です。申立て前に戸籍の経過を整理し、許可後の届出までを見通して準備することが重要です。

まとめ|子の氏の変更は、できる場面と手続きの流れの確認が重要

子の氏の変更では、まず現在の戸籍の状態を整理し、制度上どの場面に当たるのかを確認することが出発点となります。

そのうえで、家庭裁判所の許可が必要かどうか、戸籍の変動歴との関係で申立てが可能な状態にあるかを確認し、申立てから戸籍届までの流れを見通して準備することが重要です。

なお、子の氏の変更(民法791条)が制度上利用できない場合であっても、事情によっては氏の変更(戸籍法107条1項又は4項)が検討の対象となることもあります。

制度の枠組みを踏まえて整理すれば、手続きは過度に複雑なものではありません。まずは戸籍を確認し、どの手続きが適切かを順に検討していきましょう。

よくある質問|子供の名字の変更の手続き

親の氏が変われば自動的に子供の氏も変わりますか?家庭裁判所の手続きが必要ですか?

親の離婚・再婚・復氏・養子縁組などによって親の氏が変更されても、原則、子供の氏には影響がありません。
子供が親と異なる氏を称することになった場合には、原則として家庭裁判所の許可を得たうえで、戸籍の届出をする必要があります(民法791条1項)。
例外的に、父母が婚姻中の場合には、届出のみで氏を変更することができます(民法791条2項)。
いずれにしても、現在の戸籍の状態を確認し、手続きの可否と要否を整理することが出発点になります。

離婚や再婚をした場合、子供を親と同じ氏にするにはどうすればよいですか?

親が離婚や再婚をしても、子供の氏や戸籍は自動的には変らず、子供は従前の戸籍に残り、従前の氏を称し続けます。
子供を親と同じ氏にしたい場合には、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立て、その許可を得たうえで市区町村に届け出る必要があります。

未婚の場合、子供の氏は誰の氏になりますか?認知すると父の氏になりますか?

父母が婚姻していない場合、子は出生により母の戸籍に入り、母の氏を称し、父が認知をしていても、子の氏は自動的に父の氏を名乗ることはありません。
そのため、未婚の父母の間の子が父の氏を称したい場合には、家庭裁判所の許可を得て、戸籍届をする必要があります(民法791条1項)。
父母が出生後に婚姻した場合には、家庭裁判所の許可を経ずに届出によって両親の戸籍に入ることができます(民法791条2項)。

子供が分籍・婚姻・養子縁組後でも申立てはできますか?

子供が分籍や婚姻をした場合は、子の氏の変更手続きで親の戸籍に戻ることはできません。しかし、分籍後又は婚姻で筆頭者になった後に親の氏が変わった後はこの限りではありません。
また、筆頭者の氏を名乗る婚姻をした子、養子になった子は、その後に親の氏が変更になったとしても、この手続きをすることはできません。

家庭裁判所の手続きはどのように進みますか?出頭は必要ですか?どれくらいで許可されますか?

家庭裁判所の審理は、書面審査のみで進行することが多く、期日が設けられ、裁判所に出頭することは稀です。
戸籍関係が明確で、利害関係人がいない場合などには、手続きが迅速に進むことが多く、当事者が申立てをした日に許可されることもあります。
現在までの経緯が複雑な場合や、利害関係人がいる場合には、追加の資料が求められたり、関係人に照会が行われ、一定の期間を要することもあります。

親権者が変われば、子供の氏は変わりますか?

親権は、氏や戸籍の帰属を直接決める制度ではなく、離婚後に親権者が変更されたとしても、それだけで子供の氏や戸籍が自動的に変更されることはありません。
親権者が変更された場合は、戸籍上は親権者の変更がされるにとどまり、子供は従前の戸籍に在籍し、従前の氏を称し続けます。。
したがって、新たに親権者となった親が、子を同じ氏、同じ戸籍にしたい場合には、別途、子の氏の変更許可の申立てを行う必要があります。

一度子の氏の変更許可の手続きで変更した後に、元に戻すことはできますか?

可能です。原則、家庭裁判所に子の氏の変更許可を申立て、許可を得る必要があります
特例として、未成年の時に、この手続きで氏を変更した子供は、成人してから1年以内に限って、市区町村に戸籍の届をするだけで、従前の氏に戻ることができます。

子の氏の変更手続きができない場合、他に検討できる手続きはありますか?

戸籍の状態によって、子の氏の変更許可の手続きを選択できない場合があります。
この場合は、戸籍法107条1項の氏の変更手続きによって、氏を変更できる場合があります。しかし、氏の変更の許可手続きでは、「やむを得ない事由」が求められるので、難易度が高いです。
まずは、現在の戸籍の状況、経緯を把握して、手続きを検討する必要があります。

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