子の氏の変更には、大きく分けて2つの期間がかかります。ひとつは家庭裁判所への申立てから許可が出るまでの期間、もうひとつは、許可後に市区町村へ入籍届を提出してから、実際に戸籍へ反映されるまでの期間です。
戸籍関係が明確な事案では、申立てから許可までが短期間で進み、裁判所によっては申立て当日に許可の審判書を受け取れることもあります。一方で、成人後の申立てや、戸籍の経過が複雑な事案では、確認や照会に時間がかかり、長期化することもあります。
この記事では、家庭裁判所での申立てから許可、入籍届の提出、戸籍への反映までにかかる期間の目安と、あわせて発生する費用について解説します。
家庭裁判所の許可までにかかる期間
家庭裁判所の許可までにかかる期間は、申立ての内容や申立先の家庭裁判所によって異なります。ここでは、戸籍などの必要書類を準備して家庭裁判所へ申立てをした後、許可の審判が出るまでの期間を説明します。申立て前の戸籍収集や申立書の作成にかかる期間は、事案による差が大きいため含めていません。
典型的なケースでは1週間程度が目安
父母の離婚直後に、父の戸籍に残っている未成年の子が、別の戸籍に異動した母の戸籍に入るような典型的なケースでは、比較的短期間で手続が進むことがあります。
この場合は、子と父母の戸籍関係、変更する氏、入籍先が戸籍から明確に確認できるので、当事務所で扱うケースでは申立てから1週間程度で許可されることが多くあります。
ただし、1週間という期間は家庭裁判所の事務処理状況や申立ての内容によって前後するため、あくまで典型的な事案における目安として考える必要があります。
申立て当日に許可されることもある
家庭裁判所によっては、一定の条件を満たす子の氏の変更について、申立て当日に審判をする即日審判の運用があります。例えば、東京家庭裁判所、名古屋家庭裁判所本庁や大阪家庭裁判所本庁では、子の氏の変更を即日審判の対象としています。当事務所の経験上、都市部の規模の大きい家庭裁判所では即日結果が出ることが多くみられます。
もっとも、事情によっては、書類が整っていても当日に審判されないこともあります。そのため、子の氏の変更が一般に即日で許可されるわけではありません。
即日審判を利用できる事件や受付時間などには条件があり、また、この運用は、家庭裁判所によって異なり、変更されることもあります。即日での審判を希望する場合は、申立先の家庭裁判所が即日審判を実施しているか、対象となる条件や受付方法を事前に確認してください。
成人後の申立てなどでは時間がかかることがある
子の氏の変更は、戸籍上の経過や申立てに至った事情について確認が必要になると、典型的な事案より審理に時間がかかることがあります。
例えば、幼少期に父母が離婚した後も父の氏のまま成人し、長期間が経過してから母の氏へ変更する場合には、現在になって氏を変更する動機や、これまでの戸籍上の経過などについて確認されることがあります。
また、過去に一度子の氏の変更をしており、その後に父母の再婚・離婚、養子縁組・離縁などを経て、再び父または母の氏へ変更しようとする場合も同様に、現在までの経緯や動機について、より詳しく審理されることがあります。
さらに、変更しようとしている父または母の戸籍に、再婚相手や再婚相手との子などが在籍している場合には、家庭裁判所によっては、その同籍者の意向について確認が行われることがあります。このような事案では、審判までの期間が長くなることがあります。
家庭裁判所は、審理のために必要がある場合には追加書類の提出を求めたり、書面で照会したり、直接事情を確認したりすることがあります。事案によっては、申立てから許可まで2か月以上を要することもあります。
入籍届から戸籍に反映されるまでの期間
家庭裁判所の許可を受けた後は、市区町村へ入籍届を提出します。入籍届を提出しただけでは、その場で戸籍への反映が完了するわけではありません。届出が受理された後、市区町村で戸籍の記録処理が行われます。
戸籍への反映は1〜2週間程度が目安
入籍届を提出してから戸籍に反映されるまでの期間は、1〜2週間程度がひとつの目安です。2〜3週間程度かかることもあります。届出の際に、戸籍へ反映されるまでの目安を窓口で確認しておくと確実です。
そのため、入籍届を提出した当日に、変更後の戸籍全部事項証明書などを取得できるとは限りません。戸籍への反映を確認する必要がある場合は、案内された期間を目安に、本籍地の市区町村へ確認します。
本籍地以外への届出などでは時間がかかることがある
入籍届を提出した市区町村と本籍地の市区町村が異なる場合には、届出内容を本籍地へ送付して戸籍を記録するため、反映までに通常より時間がかかることがあります。
また、届出内容について確認が必要な場合や、休日・連休、届出が集中しやすい日の前後など、市区町村の処理状況によっても戸籍への反映までの期間は前後します。
戸籍への反映を急ぐ事情がある場合は、届出先または本籍地の市区町村へ、現在の処理状況や戸籍を取得できる時期を確認してください。
子の氏の変更にかかる費用
子の氏の変更にかかる主な実費は、家庭裁判所へ納める収入印紙と郵便費用、申立てに必要な戸籍証明書の取得費用です。家庭裁判所の許可後の入籍届自体には手数料はかかりません。
| 費用 | 目安 |
|---|---|
| 収入印紙 | 子1人につき800円 |
| 連絡用の郵便費用 | 数百円程度 |
| 戸籍証明書の取得費用 | 必要な種類・通数によって異なる |
| 入籍届 | 手数料なし |
家庭裁判所への申立てにかかる費用
子の氏の変更許可を申し立てる際には、子1人につき800円分の収入印紙が必要です。複数の子について同時に申し立てる場合でも、収入印紙は子1人ごとに必要になります。
このほか、家庭裁判所からの連絡などに使用するため、数百円程度の郵便費用がかかります。必要となる郵便切手の金額や組み合わせは家庭裁判所によって異なるため、申立先の家庭裁判所の案内を確認してください。
戸籍証明書の取得にかかる費用
子の氏の変更許可の申立てには、子の戸籍全部事項証明書のほか、氏を同じくしようとする父または母の戸籍全部事項証明書などが必要です。どの戸籍が必要になるかについては、子の氏の変更許可申立書の書き方で詳しく解説しています。
必要となる戸籍証明書の種類や通数は、戸籍上の経過によって異なります。典型的な事案では必要な戸籍が少なく済むことがありますが、現在までの戸籍上の経過を確認するため、複数の戸籍証明書が必要になることがあります。
そのため、戸籍証明書の取得費用を一律に示すことはできません。必要な戸籍の範囲を確認したうえで取得すると、不要な証明書を重複して取得することを避けられます。
なお、司法書士等の専門家へ依頼する場合は、これらの実費とは別に報酬がかかります。当事務所へご依頼いただく場合の報酬については、次の項目で説明します。
当事務所へ依頼する場合の費用
当事務所へ子の氏の変更許可の申立てをご依頼いただく場合は、前項で説明した実費とは別に、司法書士報酬がかかります。報酬は、未成年の子について父母の離婚に伴って申し立てる典型的な事案か、成人後の申立てなど事情の確認や審理への対応が必要となる事案かによって、報酬の形態自体が異なります。
| 事案 | 司法書士報酬 |
|---|---|
| 未成年の子で、父母の離婚に伴う典型的な申立て(書類作成報酬) | 33,000円 |
| 同時に申し立てる2人目以降の子 | 1人につき11,000円加算 |
| 複雑な事例や成人後の申立てなど(着手金・成功報酬) | 着手金66,000円+成功報酬44,000円〜 |
未成年の子で父母の離婚に伴う典型的な申立ては、書類作成報酬として一律33,000円をいただきます。一方、複雑な事例や成人後の申立てなど、事情の確認や審理への対応が必要となる事案は、着手金と成功報酬に分けてご案内します。
成人後の申立てなどでも、戸籍上の経過や申立ての事情が比較的単純な場合には、成功報酬を減額することがあります。一方で、過去の子の氏の変更や、再婚・離婚、養子縁組・離縁など戸籍上の経過が複雑な場合には、事案に応じて報酬をご案内します。
成功報酬は、家庭裁判所から子の氏の変更許可を得た場合に発生します。上記の司法書士報酬とは別に、収入印紙、郵便費用、戸籍証明書の取得費用などの実費がかかります。
まとめ
子の氏の変更にかかる期間は、家庭裁判所への申立てから許可までの期間と、許可後に入籍届を提出してから戸籍へ反映されるまでの期間に分けて考えると分かりやすくなります。
父母の離婚後に未成年の子が別の戸籍に異動した親の氏へ変更するような典型的な事案では、申立てから許可まで1週間程度がひとつの目安です。家庭裁判所によっては申立て当日に許可されることもありますが、必ず即日で許可されるわけではありません。成人後の申立てや複雑な事案では、審理に時間がかかることがあります。
家庭裁判所の許可後に入籍届を提出してから戸籍へ反映されるまでの期間は、1〜2週間程度が目安です。本籍地以外へ届出をした場合や、市区町村の処理状況によっては、2〜3週間程度かかることもあります。
手続にかかる主な実費は、子1人につき800円の収入印紙、数百円程度の郵便費用、戸籍証明書の取得費用です。入籍届自体には手数料はかかりません。専門家へ依頼する場合は、これらの実費とは別に司法書士報酬がかかります。
申立て前の戸籍確認や申立書の書き方は子供の名字の変更手続きと子の氏の変更許可申立書の書き方で、許可後の入籍届の書き方は子の入籍届の書き方で、それぞれ詳しく解説しています。
期間・費用ともに事案によって幅がありますが、典型的なケースであれば、期間や費用の見通しを立てやすい手続きです。まずは、ご自身の戸籍上の経過や申立ての事情が、典型的な事案に当てはまるかを確認してください。
よくある質問|子の氏の変更にかかる期間と費用
子の氏の変更にはどのくらいの期間がかかりますか?
父母の離婚後に未成年の子が別の戸籍に異動した親の氏へ変更するような典型的な事案では、家庭裁判所への申立てから許可まで1週間程度がひとつの目安です。家庭裁判所によっては、一定の条件を満たす場合に申立て当日に許可されることもありますが、必ず即日で許可されるわけではありません。許可後に入籍届を提出してから戸籍へ反映されるまでは、1〜2週間程度が目安で、場合によっては2〜3週間程度かかることもあります。
成人した子の氏の変更は時間がかかりますか?
成人後の申立てだから必ず時間がかかるわけではありません。ただし、父母の離婚から長期間が経過している場合や、過去の子の氏の変更、父母の再婚・離婚、養子縁組・離縁などが関係する複雑な事案では、申立てに至った事情や戸籍上の経過について確認されることがあります。追加書類の提出や照会などが行われると、典型的な事案より審理に時間がかかることがあります。
家庭裁判所の許可後、いつ新しい戸籍を取得できますか?
家庭裁判所の許可を得ただけでは戸籍は変わらず、市区町村へ入籍届を提出する必要があります。入籍届を提出してから戸籍へ反映されるまで1〜2週間程度がひとつの目安で、本籍地以外へ届出をした場合や市区町村の処理状況によっては2〜3週間程度かかることもあります。そのため、入籍届を提出した当日に変更後の戸籍を取得できるとは限りません。
子の氏の変更にはいくら費用がかかりますか?
主な実費は、子1人につき800円の収入印紙、数百円程度の郵便費用、戸籍証明書の取得費用です。複数の子について申し立てる場合は、収入印紙が子1人につき800円必要です。家庭裁判所の許可後に提出する入籍届自体には手数料はかかりません。司法書士等の専門家へ依頼する場合は、これらの実費とは別に報酬がかかります。