婚姻届の間違え

婚姻届の間違え

漫画家の清野さんとタレントの壇蜜さんが、婚姻届の記入を間違えて、壇蜜さんの氏になってしまったというニュースがありました。

戸籍法としては

第七十四条 婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
一 夫婦が称する氏
二 その他法務省令で定める事項

戸籍法では、夫婦が婚姻後に称する氏を記載しなければならないことになっています。また、婚姻前の戸籍には「夫の氏を称する」又は「妻の氏をを称する」旨記録されます。婚姻後の新しい戸籍には婚姻前の本籍と筆頭者の名前が記録されます。

役所に備え付けられている一般的な婚姻届には、新しい戸籍の本籍の記入欄と夫又は妻の氏を選ぶチェックボックスがあります。

おそらく、チェックボックスを間違えたのでしょう。では、この間違えをどう直したらよいのでしょうか?

氏の変更許可手続き

まず、氏の変更許可の手続きで氏を変更することは可能でしょうか?

氏の変更許可の手続きの場合、「やむを得ない事由」が必要ですが、うっかりチェックを間違えたことが「やむを得ない事由」あたるかどうかが問題です。ところが「やむを得ない事由」にあたらないという説もあるそうです。

また、氏の変更手続きでしてしまうと、法律上は一度婚姻で氏が変わった後に、さらにもう一度氏が変わったことになります。

戸籍の訂正許可の手続き

まずは、婚姻届の記載にミスがあったから、婚姻自体が無効だと考えられるかどうかです。しかし、婚姻後の氏を間違ったからと言って、婚姻の全部が無効になってしまうことはありません。また、もし婚姻自体が無効だとすると、新しく婚姻届を出しなおすことになってしまうので、婚姻の日付も変わってしまいます。(戸籍法114条)

次にその戸籍の氏(筆頭者の氏)の記載が間違いなので、その部分だけをなおすことはできないでしょうか。

これは可能です。内容としては、筆頭者を変えるだけのことですが、戸籍手続きとしては、婚姻前の戸籍からさかのぼって訂正して、婚姻後の戸籍を一度消した後、筆頭者をなおした戸籍を新しく作ることになります。戸籍の記録としては、複雑な内容になります。

この場合は、筆頭者を直しただけですので、最初の婚姻届自体は有効なままですので、婚姻の日付が変わることはありません。

まとめ

上記のとおり、戸籍をなおすことは可能ですが、戸籍の記録にミスがあるとわかっていながら放置してしまうと、黙認したと考えられて、訂正が許可されないことも考えられるので、ミスに気づいたら、早めになおした方が良いです。

戸籍の記録の間違えで、婚姻関係、家族関係がおかしくなるのも馬鹿らしいので、なおせるものであれば、なおしてしまった方が良いと思います。

類似事例

似たような事例で、婚姻届が間違っていたわけでありませんが、時間が経ってから配偶者の氏に変えたいという方もいらっしゃいます。しかし、この場合は、単純な氏の変更許可の手続きになってしまうので、「やむを得ない事由」が必要になってしまいます。

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