改名手続の裁判所の費用とその他にかかる費用

改名の手続をするには、戸籍代や住民票代、裁判所の手数料とその他の実費、専門家の報酬等、色々な費用を負担することになります。

ご自身で手続をする場合は、専門家の報酬は発生しませんが、すくなくとも戸籍代と裁判所の手数料、実費は必要になります。

どういった費用がどれくらいかかるのか、おおよその目安を知ったうえで、手続の準備を始めることも、大切です。

1.改名の手続に関する費用

名の変更許可申立の手続は、法律で定められている戸籍や許可を得るために必要な証拠資料を申立書に添付する必要があり、この戸籍の費用や証拠資料を集めるための経費、裁判所の手数料は、すくなくとも2,000円程度かかります。

それに加えて、専門家に手続を依頼する場合は専門家の報酬(約8~20万円)が手続に要する費用になります。

1.1証拠資料を集めるための経費

手続にあたって、現在の戸籍の発行手数料450円は、必ず負担することになります。

証拠資料を集めるための経費は、それぞれの状況で集めなければならない資料が違うので、一概に総額はいくらと申し上げられません。

1.2裁判所に支払う手数料

家庭裁判所へ支払う手数料は、収入印紙で支払う申立手数料800円と切手で納める予納郵券500円程度の二種類があります。

1.3専門家に支払う報酬

弁護士、司法書士といった専門家に依頼をする場合は、専門家の報酬を支払う必要があります。現在、専門家の報酬は自由化されていますが、おおよその目安としては、8万円から16万円(消費税を含まない金額)が一般的だと思われます。

2.証拠資料等を集めるための経費(450円~)

裁判所の手続をするには、法令で定められた戸籍等の添付書類と、名前の変更の理由を証明するための証拠資料を、申立書とあわせて家庭裁判所に提出する必要があります。そしてこれらの資料を用意するための経費がかかります。

2.1戸籍・住民票の取得のための手数料(450円~)

家庭裁判所へ申立をする場合、発行から3か月以内の現在の戸籍1通を添付しなければならず、状況によって過去の戸籍を取得することもあります。また裁判所の管轄を証明するために住民票や戸籍の附票を添付しなければならないこともあります。

証明書の種類 発行手数料
現在の戸籍 1通あたり450円
除籍又は改製原戸籍 1通あたり750円
住民票又は戸籍の附票 市区町村で違います
(1通あたり200円から400円程度)
  • 過去の戸籍と戸籍の附票を取得することはできませんが、現在の戸籍と住民票は、マイナンバーカードを使って、コンビニ等の複合機で取得することができ、発行手数料もすこし安いです。
  • 2024年3月1日以降は、自分の戸籍であれば、過去のものであっても住所のある市区町村で取得できるようになります。市区町村によっては、受け取るまでに時間がかかるところもあるそうです。
  • 戸籍や住民票は郵便でも請求することができます。この場合、郵便局で手数料分の定額小為替を購入して、本籍のある市区町村へ戸籍の申請書と一緒に郵送します。しかし、定額小為替の発行手数料が1通あたり200円と割高で、郵送料もかかります。

2.2証明書を取得するための費用(必要に応じて)

裁判所へ名前の変更の理由があることを証明するために、戸籍や住民票以外の診断書や外国の証明書等を取得しなければならないこともあります。

こういった証明書は、発行する団体等がそれぞれ定めていて、無料のものもあれば、安いもので数百円、高いものですと数千円かかり、これも負担する必要があります。

たとえば、医師の診断書の場合は数千円以上かかります。診療記録やカルテの場合は診療期間で大きく変わってきます。

外国の出生証明書や戸籍の場合は、国によって大きく違います。韓国は、とてもリーズナブルですが、ヨーロッパの国によっては数千円かかるところもあります。

2.3その他の資料を集めるための費用(必要に応じて)

証明書のような明確な証拠資料ではない資料も、名前の変更の許可を得るための証拠資料になることもあります。これらを保管したり、プリントアウトするための費用も必要になります。

3.裁判所に支払う手数料(1,200円程度~)

3.1裁判所の手数料(一律800円)

名前の変更許可申立の家庭裁判所の申立手数料は、一律800円と決まっています。具体的には800円分の収入印紙を、申立書と一緒に家庭裁判所へ提出することになります。

3.2通信用の切手代(200円程度~)

申立書を家庭裁判所へ提出する時に、裁判所との連絡用の郵便切手を、裁判所が指定した内訳で納める必要があります。合計金額や切手の種類は、裁判所ごとに定めているので、申立て前に裁判所のホームページ等で確認する必要があります。

首都圏では、400円から500円分の郵便切手を用意する必要があります。(2024年10月1日に郵便料金が値上げになるので、これにあわせて増額されると考えられます)

3.3その他に支払う費用(必要に応じて数万円~)

改名の手続ではほとんどありませんが、医療的な鑑定等の専門家の調査が必要になる場合は、この調査のための実費を、あらかじめ裁判所へ支払うよう求められることもあります。

4.専門家の報酬(8万円~20万円程度)

専門家の報酬は、弁護士であれば14万円~、司法書士の場合は8万円~であることが多いです。依頼先の専門家によって報酬の支払い方に、それぞれ違いがあります。

4.1書類作成報酬

書類作成報酬とは、申立書等、裁判所へ提出する書類の作成に対する代金として、専門家へ支払う報酬です。多くの場合は、書類を作成後、裁判所へ申立書を提出するまでに、報酬の支払いをすることが多いです。

弁護士であれば、手続代理人になるので、このパターンになることはありません。

4.2着手金と成功報酬

着手金は、専門家が手続に着手するために支払う報酬です。一般的には依頼後すぐに支払います。

成功報酬は、手続の目的を達成したことに支払う報酬です。改名手続であれば、家庭裁判所の許可されたことで目的が達成されるので、許可された後に支払います。

このバリエーションとして完全成功報酬というものがあります。着手金はなく、手続が成功した時だけ報酬を支払う契約で、改名の手続の場合は、裁判所に許可された後に支払います。一般的には、手続が成功に終わる可能性が高い場合に選ばれます。

4.3タイムチャージ制

タイムチャージ制は、専門家が手続のために使った時間に対して報酬を支払う方法です。あらかじめ1時間あたりの報酬をいくらと金額を定めて、一定期間ごとに実際に作業をした時間を集計して、支払うことになります。手続の難易度が高く、結果を予測することができないような場合に、設定されることが多いです。

4.4その他の費用

この他に以下のような報酬・手数料等が発生することもあります。

  • 戸籍等の取得を代行する場合に、戸籍代等と郵送料又は交通費とは別に専門家の手数料
  • 法令、専門文書等の調査料
  • 外国文書の翻訳料
  • 裁判所へ同行することへの日当交通費

5.当事務所の報酬

当事務所の改名手続の報酬は、着手金と成功報酬を設定しています。着手金は55,000円(消費税を含む)、成功報酬は同じく55,000円(消費税を含む)です。

この他に戸籍や住民票の取得を代行する場合は、戸籍・住民票代と郵送料をいただき、代行手数料はいただきません。また、調査料等の名目で追加の費用をいただくことはありません。

首都圏以外の裁判所へ同行を希望される場合は、日当交通費をいただきますが、首都圏の場合はいただきません。

なお、許可がされなかった場合に、着手金等の報酬を返還することは、司法書士法等法令で禁止されているので、いたしかねます。