外国人である親の氏名が本国で変更されたとき、日本人である子の戸籍に記録された親の氏名も、そのままでよいのか、どのように考えればよいのか迷うことがあります。
外国人親の氏名は子の戸籍の父母欄に記録されます。その子が日本人親と外国人親の間の子であるか、あるいは両親ともに外国人で子が日本国籍を取得しているのかによって、その考え方は異なります。。また、日本人親と外国人親の婚姻が続いているかどうかによっても、確認すべき点は変わります。
最近では、相続手続などの場面で、戸籍に記録された外国人親の氏名と外国人親の本国の証明書上の氏名との整合が問題となることもあり、あらかじめ戸籍上の記載を整理しておくことにも意味があります。
もっとも、この問題は、もとの戸籍記録が誤っている場合や不正確である場合とは分けて考える必要があります。この記事では、日本人親と外国人親の間の子である場合と、両親ともに外国人で子が日本国籍を持つ場合とに分けて、外国人親の氏名変更が子の戸籍の父母欄にどのように反映されるのかを解説します。
外国人親の氏名変更を子の戸籍に反映したい場合に、まず確認したいこと
外国人親の氏名が本国で変更された場合、子の戸籍に記録された親の氏名をどのように考えればよいのかは、すぐには分かりにくいことがあります。もっとも、この問題で最初に確認するべきなのは、子の戸籍のどの欄が問題になるのか、また、どのような事情によって考え方が分かれるのかという点です。
ここでは、外国人親の氏名変更を子の戸籍に反映したい場合に、まず押さえておきたい基本的な考え方を整理します。
問題となるのは子の戸籍の父母欄の記載
外国人親の氏名が本国で変更された場合に、子の戸籍との関係でまず問題となるのは、子の戸籍の父母欄に記録された親の氏名です。子の戸籍には、その子の父および母が誰であるかが記録されており、外国人である親についても氏名が父母欄に記載されます。
そのため、外国人親の氏名に変更があったときは、子の戸籍の父母欄の記載をどのように考えるかが出発点になります。
親の戸籍の有無と婚姻関係によって考え方が異なる
外国人親の氏名変更の問題は、常に同じように子の戸籍の父母欄だけを見れば足りるわけではありません。
日本人親と外国人親の間の子である場合でも、日本人親と外国人親の婚姻が継続しているのか、すでに離婚しているのかによって、先に問題となる戸籍上の記載や申し出の対象が異なることがあります。
また、両親ともに外国人で子が日本国籍を持つ場合には、出発点となる戸籍の状況自体が異なります。そのため、外国人親の氏名変更を子の戸籍に反映する場面では、親の戸籍の有無と婚姻関係を確認しながら考えることが必要です。
もとの記録が誤っている場合や不正確である場合とは分けて考える
この問題を考えるときには、外国人親の氏名が変更された場面と、もとの戸籍記録に誤りや不正確さがある場面とを分けておくことが大切です。今回の記事で扱うのは、外国人親の氏名が本国で変更されたことを前提に、その変更を子の戸籍の父母欄に反映する場面です。
これに対し、もとの記録自体が誤っている場合や不正確である場合は、別の問題として考えることになります。もとの記録の誤りや不正確な記載を正したい場合は、「戸籍に記録された外国人親の氏名に誤りがある場合に、直接、子の氏を正しい表記に変更する手続」の記事で整理しています。
日本人親と外国人親の間の子の場合
日本人親と外国人親の間の子である場合、外国人親の氏名は、日本人親の戸籍では外国人配偶者に関する記載として現れ、子の戸籍では父母欄に記録されます。そのため、外国人親の氏名変更を戸籍に反映したいときは、子の父母欄だけを見れば足りるとは限りません。
日本人親と外国人親の婚姻が継続しているか、すでに離婚しているかによって、先に問題となる戸籍上の記載や申出の対象が異なるためです。
そこで、この章では、まず日本人親と外国人親の間の子の戸籍の基本を確認したうえで、婚姻継続中の場合と離婚後の場合とに分けて考えます。
日本人親と外国人親の間の子の戸籍の基本
日本人親と外国人親の間の子である場合、外国人親の氏名は、子の戸籍では父母欄に記録されます。他方で、日本人親の戸籍上では、外国人配偶者に関する記録として外国人親の氏名が現れます。
そのため、この類型では、外国人親の氏名変更の問題を子の戸籍の父母欄だけの問題として考えることはできません。日本人親と外国人親の婚姻が継続しているか、すでに離婚しているかによって、どの記載が先に問題となるかが変わるからです。
なお、日本人親の戸籍では、婚姻に関する記載のほか、認知の記録として外国人親が現れる場面もありますが、本記事では主に婚姻継続中または離婚後のケースを中心に扱います。
日本人親と外国人親が婚姻継続中である場合
日本人親と外国人親が婚姻中である場合、外国人親の氏名は、日本人親の戸籍では外国人配偶者として記録され、子の戸籍では父母欄に記録されます。このとき、子の戸籍の父母欄にある外国人親の氏名は、日本人親の戸籍にある外国人配偶者の氏名と一致することが原則です。
したがって、子の父母欄だけを独立して変更することはできず、まず日本人親の戸籍上の外国人配偶者の氏名について更正の申出をする必要があります。
日本人親と外国人親がすでに離婚している場合
日本人親と外国人親がすでに離婚している場合には、婚姻継続中の場合とは異なり、日本人親の戸籍に記録された外国人配偶者の氏名との一致を前提に、子の戸籍の父母欄を考えることはできません。この場合に中心となるのは、子の戸籍の父母欄に記録された外国人親の氏名です。
したがって、外国人親の氏名変更を戸籍に反映したいときは、子の戸籍の父母欄にある外国人親の氏名について更正の申出をすることになります。
両親ともに外国人で、子が日本国籍を持つ場合
両親ともに外国人で、子が日本国籍を持つ場合には、日本人親と外国人親の間の子である場合とは、戸籍の出発点が異なります。ここでは、日本人親の戸籍に記録された外国人配偶者の氏名を起点に考えることはできず、子の戸籍の父母欄に記録された親の氏名を確認することになります。
子が帰化して日本国籍を取得した後に、親も日本国籍を取得した場合には、親の日本の戸籍上の状況も考慮する必要があります。
そこで、この章では、その違いを踏まえて、子の戸籍の父母欄に記録された外国人親の氏名をどのように考えるかを整理します。
子が帰化している場合の子の戸籍の基本的な記録事項
子が日本国籍を取得すると、その子について日本の戸籍が作られ、その戸籍の父母欄に父および母(又は母)が記録されます。両親がともに外国人である場合でも、子の戸籍には外国人である父母の氏名が記録されることになります。
この段階では、親には日本の戸籍が存在しないので、子の戸籍の父母欄にどのように親の氏名が記録されているかのみを確認すれば足ります。
子の帰化後に親が日本国籍を取得した場合
子が日本国籍を取得した後に、親も帰化して日本国籍を取得した場合には、子のみ日本国籍を取得した場合と異なり、親の日本の戸籍上の状況も考慮する必要があります。この段階では、子の戸籍の父母欄に記録された親の氏名だけでなく、親について作られた日本の戸籍との関係も問題となり得るからです。
そのため、外国人親の氏名変更の問題を考えるにあたっても、子の戸籍の父母欄だけを独立して見るのではなく、親の戸籍上の状況もあわせて確認することが必要になります。
なお、親が日本国籍を取得した後は、子の戸籍の父母欄の氏名変更だけでなく、子供本人の氏の手続きとして入籍届や子の氏の変更許可が問題となる場合もあります。
外国人親の氏名変更を戸籍に反映するための基本的な対応
ここまで見てきたように、外国人親の氏名変更を子の戸籍に反映するといっても、どの戸籍のどの記載が問題になるかは、親子の身分関係や戸籍上の状況によって異なります。
ただし、いずれの場合であっても、外国人親の氏名が本国でどのように変更されたのかを証明する資料を確認し、市区町村に相談することが出発点になります。
まず確認するべきなのは、外国人親の氏名が本国でどのように変更されたのかを示す証明書です。氏名の変更が婚姻、離婚その他の事情によるものであっても、その変更の事実が公的な資料によって確認できることが前提になります。
必要となる資料は、親子の身分関係や現在の戸籍の状態によって異なることがあるため、個別の事情に応じて確認しながら進めることが大切です。
まとめ|外国人親の氏名変更を子の戸籍に反映したい場合に、まず確認したいこと
外国人親の氏名が本国で変更された場合、子の戸籍との関係でまず確認すべきなのは、子の戸籍の父母欄にどのように親の氏名が記録されているかです。ただし、日本人親と外国人親の間の子である場合には、子の戸籍の父母欄だけでなく、日本人親の戸籍に記録された外国人配偶者の氏名との関係も問題になります。特に、日本人親と外国人親の婚姻が継続している場合には、子の父母欄だけを独立して変更することはできず、日本人親の戸籍上の外国人配偶者の氏名について更正の申出を先にする必要があります。
これに対し、両親ともに外国人で子が日本国籍を持つ場合には、日本人親の戸籍を起点に考えることはできず、子の戸籍の父母欄に記録された親の氏名が出発点になります。もっとも、子の帰化後に親も日本国籍を取得した場合には、親の日本の戸籍上の状況もあわせて確認する必要があります。
いずれの場合であっても、外国人親の氏名変更を戸籍に反映するためには、本国での氏名変更を証明する資料を確認し、市区町村に相談しながら進めることが基本になります。もとの記録自体が誤っている場合や不正確である場合とは別の問題ですので、その点は分けて考えることが大切です。