外国人親の氏へ子どもの苗字を変更する家庭裁判所の許可を得た後は、市区町村へ「外国人父母の氏への変更届」を提出します。
家庭裁判所の許可の審判だけでは、戸籍上の氏は変更されません。審判書と確定証明書を確認し、届書を作成して市区町村へ届け出ることで、戸籍上の氏が変わります。
この届出は、外国人親の戸籍を作成して、その戸籍に入るというわけではなく、届出後は、氏を変更する本人について新しい戸籍が編製されます。
この記事では、届出前に確認する書類、外国人父母の氏への変更届書の書き方、必要書類、届出後の戸籍の確認ポイントを解説します。
届出前に確認する審判書と確定証明書
外国人父母の氏への変更届は、家庭裁判所の許可の審判が確定した後に提出します。そのため、届書を作成する前に、審判書に記載された内容と、許可の審判が確定していることを確認します。
特に、審判書に記載された日本人子の住所・本籍・氏名が、現在の戸籍の内容と合っているかを確認することが大切です。
審判書に記載された住所・本籍・氏名と変更後の氏
まず、家庭裁判所から受け取った審判書を確認します。審判書には、申立人の住所・本籍・氏名、許可された変更後の氏などが記載されています。
外国人父母の氏への変更届には、氏を変更する人の現在の氏名・住所・本籍のほか、変更後の氏、氏を変更した後の本籍などを記入します。
そのため、審判書に記載された内容と、現在の戸籍の記載に違いがないかを、審判書を受け取った後、可能な限りすみやかに確認することをお勧めします。
万が一、審判書の記載に誤りや疑問がある場合は、すみやかに家庭裁判所の担当者に連絡してください。
確定証明書を取得してから届出をする
外国人父母の氏の変更届は、氏の変更が許可されていること、その許可の審判が確定していることが、必須の条件です。そのため、審判書と確定証明書が届出の添付書類になります。
通常、審判書に確定証明書の申請書が同封されているので、審判書を受け取り、問題がないことを確認したら、早めに申請書を裁判所に発送するのが良いでしょう。
審判は、審判書を受け取った日の翌日から2週間が経過したときに確定します。確定した後、おおよそ数日から1週間程度で、お手元に郵送されることが多いです。
外国人父母の氏への変更届書の書き方
外国人父母の氏への変更届書は、市区町村の戸籍届出窓口で取得できるほか、市区町村のホームページからダウンロードできる場合があります。
ここでは、外国人父母の氏への変更届書の全体像を確認したうえで、記入欄を3つに分けて見ていきます。
届書を作成するときは、審判書、確定証明書、現在の戸籍の内容を確認しながら、戸籍や審判書の記載どおりに記入します。
外国人父母の氏への変更届については、市区町村のページでも、届出人、届出場所、必要書類などが案内されています。たとえば、大阪市の外国人父母の氏への氏の変更届の案内ページなど、お住まいの市区町村のホームページを確認すると、届出の概要を確認できます。
氏を変更する人の氏名・住所・本籍の欄
届書の最初の欄には、外国人父母の氏へ変更する本人の情報を記入します。ここでいう本人は、家庭裁判所の審判で氏の変更を許可された日本国籍の子です。
「氏名」の欄には、現在の戸籍に記録されている届出前の氏名と生年月日を記入します。この欄には変更後の氏ではなく、必ず現在の戸籍上の氏名を書きます。
「住所」の欄には、住民票上の住所と世帯主の氏名を記入します。現在の住民票の内容を確認して記入しますが、世帯主の記載が分からないときは、届出の際に市区町村の窓口で確認しても問題ありません。
「本籍」の欄には、現在の戸籍の本籍と筆頭者の氏名を記入します。この届出が受理されると新しい戸籍が作られますが、この欄には届出前の戸籍に記録されている本籍と筆頭者を記入します。
氏名、本籍、筆頭者の氏名は戸籍全部事項証明書の記載と、住所と世帯主の氏名は住民票の内容と照らし合わせながら、それぞれ正確に記入します。
変更後の戸籍の情報等の欄
次に、外国人父母の氏に変更した後の戸籍に関する情報等を記入します。この欄では、変更後の氏、新しく作られる戸籍の本籍、外国人父母との関係などを記入します。
「氏」の欄には、現在の戸籍上の氏と家庭裁判所の審判で許可された変更後の氏を明記します。
「許可の審判」の欄には、確定証明書に記載されている確定の日付を転記します。
「外国人である父又は母の氏名」の欄には、父または母のいずれかにチェックをして、日本人子の戸籍の父母欄に記載されているとおりの外国人父または母の氏名を記入します。外国人親の氏名は、戸籍上は通常「、」で氏と名前を区切っているので、注意してください。
「氏を変更した後の本籍」の欄には、届出が受理された後に作られる戸籍の本籍を記入します。現在の本籍と同じ場所にすることも、別の場所にすることも可能ですが、日本人父または母の本籍と同じ方が便利な場合が多いです。
この欄は、届出後にどのような戸籍を作るかに関わる重要な部分です。審判書や戸籍、確定証明書の内容を確認しながら記入してください。
届出人の住所・本籍・署名の欄
最後に、届出人の住所、本籍、署名の欄を記入します。届出人は、氏を変更する本人です。ただし、本人が15歳未満の場合は、法定代理人が届出人として記入します。
氏を変更する本人が15歳以上の場合は、本人が届出人となり、本人の住所、本籍、筆頭者の氏名を記入します。署名欄には、届出前の現在の氏名で署名します。
本人が15歳未満の場合は、親権者などの法定代理人が届出人となります。この場合は、法定代理人の住所、本籍(または国籍)、筆頭者の氏名を記入し、法定代理人が署名します。
届出人欄は、届出をする人を特定するための欄です。氏を変更する本人の情報を書くのか、法定代理人の情報を書くのかを間違えないように確認して記入します。
市区町村への提出方法と必要書類
外国人父母の氏への変更届書を作成したら、市区町村へ提出します。提出するときは、誰が届出人になるのか、どこの市区町村へ提出できるのか、どの書類を添付するのかを確認しておきます。
家庭裁判所の許可後に行う届出ですが、窓口で補正が必要になることがあります。事前に提出先の市区町村へ確認しておくと安心です。
届出人は氏を変更する本人または法定代理人
外国人父母の氏への変更届の届出人は、氏を変更する本人です。ただし、氏を変更する本人が15歳未満の場合は、法定代理人が届出人になります。
本人が15歳以上であれば、未成年であっても本人が届出人になります。親権者が家庭裁判所の申立てをした場合でも、届出時に本人が15歳以上であれば、届出人欄には本人が署名します。
本人が15歳未満の場合は、親権者などの法定代理人が届出人になります。届書には、法定代理人の住所、本籍、筆頭者の氏名を記入し、法定代理人が署名します。
提出先は本籍地または所在地の市区町村
外国人父母の氏への変更届は、本籍地または所在地の市区町村へ提出します。所在地には、住所地のほか、一時的に滞在している場所も含まれます。
必ずしも住民票上の住所地の市区町村へ提出しなければならないわけではありません。ただし、戸籍の記録を処理する手続なので、本籍地の市区町村へ提出した方が、その後の確認がしやすい場合があります。
本籍地以外の市区町村へ提出する場合や、郵送での提出を希望する場合は、届出の取扱いや必要書類について、事前に提出先の市区町村へ確認しておくとよいでしょう。
届出に必要な書類
外国人父母の氏への変更届を提出するときは、届書のほか、家庭裁判所の審判書謄本と確定証明書を添付します。
- 外国人父母の氏への変更届書
- 家庭裁判所の審判書謄本
- 確定証明書
- 届出人の本人確認書類
審判書謄本は、家庭裁判所が外国人父母の氏への変更を許可したことを確認するための書類です。確定証明書は、その許可の審判が確定していることを確認するための書類です。
窓口で提出する場合は、本人確認書類も持参します。本人が15歳以上の場合は本人の本人確認書類、本人が15歳未満で法定代理人が届け出る場合は、法定代理人の本人確認書類を用意します。
市区町村によって確認方法や案内が異なることがあるため、提出前に市区町村のホームページや戸籍届出窓口で確認しておくと安心です。
届出後の戸籍の変動と確認ポイント
外国人父母の氏への変更届が受理されると、届出の日から戸籍上の氏が変わります。
届出後は、氏を変更した本人について新しい戸籍が編製されます。戸籍の処理が完了したら、新しい戸籍全部事項証明書を取得して、記載内容を確認します。
新しい戸籍では、主に次の点を確認します。
- 変更後の氏が、審判書で許可された氏のとおりに記録されているか
- 本籍が、届書に記入した本籍になっているか
- 筆頭者が、氏を変更した本人になっているか
- 身分事項欄に、外国人父母の氏への変更届の記録がされているか
- 従前戸籍の記載に誤りがないか
また、従前の戸籍を取得して、記録された新しい戸籍の表示に誤りがないかを確認するのもよいでしょう。
万が一、記載に誤りや疑問を発見したときは、届出をした市区町村に確認します。
よくある質問
家庭裁判所の許可だけで氏は変わりますか?
家庭裁判所の許可だけでは、戸籍上の氏は変わりません。許可の審判が確定した後、市区町村へ外国人父母の氏への変更届を提出することで、戸籍上の氏が変わります。
届出の際には、家庭裁判所の審判書謄本と確定証明書を添付します。
外国人父母の氏への変更届はいつ、どこに提出しますか?
外国人父母の氏への変更届は、家庭裁判所の許可の審判が確定し、確定証明書を取得した後に提出します。
提出先は、本籍地または所在地の市区町村です。住所地の市区町村に限られるわけではありませんが、本籍地以外へ提出する場合や郵送で提出したい場合は、事前に提出先の市区町村へ確認しておくとよいでしょう。
届出人は誰になりますか?
届出人は、氏を変更する本人です。ただし、本人が15歳未満の場合は、親権者などの法定代理人が届出人になります。
本人が15歳以上であれば、未成年であっても本人が届出人になり、本人が届出人欄に署名します。
外国人父母の氏への変更届に必要な書類は何ですか?戸籍謄本は必要ですか?
外国人父母の氏への変更届には、家庭裁判所の審判書謄本と確定証明書を添付します。窓口で提出する場合は、届出人の本人確認書類も持参します。
戸籍全部事項証明書は、添付書類ではありませんが、届書を作成するときは、現在の戸籍の内容を確認しながら記入するのが望ましいです。
まとめ
外国人親の氏へ子どもの苗字を変更する家庭裁判所の許可を得た後は、市区町村へ外国人父母の氏への変更届を提出します。家庭裁判所の許可の審判だけでは、戸籍上の氏は変わりません。
届書を作成するときは、審判書、確定証明書、現在の戸籍の内容を確認しながら、氏を変更する人の氏名・住所・本籍、変更後の氏と本籍、届出人欄などを記入します。
届出には、家庭裁判所の審判書謄本と確定証明書を添付します。届出人は、氏を変更する本人ですが、本人が15歳未満の場合は、親権者などの法定代理人が届出人になります。
届出が受理されると、氏を変更した本人について新しい戸籍が編製されます。戸籍の処理が完了したら、新しい戸籍全部事項証明書を取得し、変更後の氏、本籍、筆頭者、身分事項欄、従前戸籍の記載に誤りがないかを確認しておきましょう。