同時に届け出る複数の戸籍届が、戸籍の記録と矛盾を生じてしまう場合

戸籍の届とは

ある人に戸籍に記録しなければならない出来事があったときは、市区町村の窓口に戸籍の届を提出しなければなりません。

例えば、子供が生まれた時は生まれた日から2週間以内に出生届を提出しなければなりません。また法律上の結婚をしようというときは、婚姻届を提出しなければなりません。

戸籍の届は、何かがあったときから一定の期間内に届をしなければならないものと、届が受理されて初めて法律上の効果が発生するものがあります。

報告的届と創設的届

戸籍の手続きでは、報告的届と創設的届といって届の種類を区別することがあります。

報告的届は、例えば出生届や死亡届等、すでに起こった事実についての届です。必ず戸籍の届の日よりも前にその事実が発生します。

創設的届は、例えば婚姻届や私が扱っている名や氏の変更届等、届を市区町村に提出して初めて効力が発生します。

離婚届の場合は、協議離婚の場合は創設的届、裁判所で離婚した場合は報告的届になります。

複数の戸籍を同時に提出する場合

あまり件数は多くないそうですが、複数の戸籍届を同時に提出することも可能です。

具体的には、未婚の親が子供の出生届と認知届を同時に提出する場合や、離婚届と同時に婚氏続称の届を提出するような場合があります。

ここで注意しなければならない点は、先に提出する戸籍届と後に提出する戸籍届の間で、戸籍の担当者が処理できないような矛盾が起こらないようにしなければならないということだと思います。

例えば、先にほかの市区町村への転籍の届を提出してしまうと、別の市区町村に戸籍が移動してしまうので、そのあとの処理ができなくなってしまいます。(戸籍届の窓口の方がうまく処理してくれると思いますが)

また報告的届を先に提出しないと、法律上の効力発生日の順番がおかしくなってしまうので、できるだけ順番通り届を提出するべきだと思います。

名や氏の変更届と他の戸籍届

名の変更、氏の変更の届もそれぞれ同時に変更することができます。

ところが名の変更、氏の変更の場合は届を提出した時点で、名や氏が変更されるので、他の戸籍届やその添付書類の氏名と齟齬をきたすことになります。

形式的には、後の順番の届は氏名が一致しないのでおかしなことになるはずですが、市区町村の窓口では同時に提出されているので変更があることも簡単にわかるので、問題なく戸籍の処理をしてもらえます。

たとえば、子供の名前を現在の戸籍で変更した後に、その子供を別の戸籍になる親の戸籍へ入籍する届は問題なく受理されますし、名の変更と氏の変更の届を同時に出すことも問題ありません。

ただし、なんでもかんでも大丈夫かというと、そういうわけではありませんので、届出の順番や届の記載の仕方などは十分相談してから提出する方が良いです。