日本の国籍取得証明書とは一体何?その役割と取得の手順を徹底解説

日本の国籍取得証明書、帰化したことの証明書とは一体何でしょうか?日本の国籍を持っている人は、原則戸籍がつくられるので、戸籍が日本人であることの証明書になります。

帰化の許可を得て日本国籍を取得した後、母国の国籍の手続きをするときに、日本の国籍取得証明書を大使館や領事館から求められるのが一般的です。ところが、日本の戸籍制度は世界的にめずらしく、母国の担当者が戸籍は国籍取得証明書にならないと考え、他の証明書を要求することがよくあります。これは身分公証制度の文化の違いで起こることなので、仕方ありません。では、どういった書類が日本の国籍取得証明書になるのか、どういった手続きをすればよいのでしょうか?

この記事では、私がお手伝いしたケースで戸籍以外の証明書を日本の国籍証明書として母国に提出した経験にもとづいて説明します。

日本の国籍取得証明書とは?その役割

日本の国籍取得証明書は、日本国籍を取得した事実を証明する書類です。ですので、「誰が」「日本国籍を取得したこと」、「日本国籍を取得した日付」がわかれば、日本の国籍取得証明書としては十分です。しかし、日本の公的機関が発行する証明書には、「日本の国籍を取得したことの証明書」や「日本へ帰化したことの証明書」といったタイトルの証明書は存在しません。

日本国内では、戸籍に帰化の日付と帰化の届の日付がしっかりと記録され、この戸籍が日本国籍を取得したことの証明書になり、住民票等の公的証明書も戸籍にしたがって書き換わります。

もし、母国の国籍の法律で、他の国の国籍を取得したときに届け出や手続きをしなければならない場合は、戸籍を日本の国籍取得証明書/帰化したことの証明書として使うことになります。

この場合、窓口である母国の大使館や領事館では、日本国籍を取得したこと、その日付を確認して、本国の手続きをするはずですが、「戸籍全部(個人)事項証明書」という証明書のタイトルが、「日本の国籍取得証明書」「帰化したことの証明書」ではないので、拒否されることがよくあります。特に日本に帰化をする人が少ない国の領事館はこの傾向が強いです。

国籍取得の事実を証明する書類とは?

市区町村や法務局は、国籍取得の事実の証明書は戸籍であると言っています。法務局のページでも、戸籍が国籍取得の証明書である旨が明記されています。

一般的にいって国籍取得の事実を証明する書類は、以下の要素を証明できれば十分です。

  • 日本国籍を取得した人の情報
  • 日本国籍を取得した事実
  • 日本国籍を取得した日付

ですので、日本の役所は、戸籍が日本の国籍取得証明書だと考えているのです。

戸籍は国籍取得証明書として使えるのか?

それでは、戸籍にはどういった情報が記録されるのでしょうか?帰化の届出をすると、本人の名前や生年月日、父母の氏名等の基本的な情報が記録されます。この他に帰化の事項として以下の情報が戸籍に記録されます。

  • 帰化の日付
  • 帰化の届出をした日付
  • 帰化をした時の国籍
  • 帰化前の氏名

ですので、戸籍も国籍取得の事実を証明する要素を満たしているはずなので、十分に国籍取得の事実の証明書になるはずです。もし、領事館等の担当者に戸籍を拒絶されても、日本国籍を取得した事実、取得者の情報、取得年月日についての公的証明書であることを、担当者に十分に説明して理解を求めることが重要です。(個人的には、国籍を取得した人の情報が不十分な気もします。もとの国籍とパスポート番号が記録されていれば、いいのになと思います。)

戸籍以外の国籍取得証明書の取得方法

では、戸籍以外にどういったものが国籍取得証明書になりえるのでしょうか。私の経験から、以下の書類が国籍取得証明書になりえます。

国籍取得証明書になりえる書類
  1. 帰化者の身分証明書のコピー
  2. 帰化の戸籍届のコピー
  3. 帰化の戸籍届の戸籍届記載事項証明書

帰化者の身分証明書とは

帰化者の身分証明書は、帰化の戸籍届と合わせて、市区町村に提出する証明書です。

帰化が許可されると、法務局は帰化が許可されたことを官報で公告し、この公告が掲載された日に日本国籍を取得したことになります。この帰化者の身分証明書は、公告後に法務局から受け取る証明書になります。

この帰化者の身分証明書も、国籍取得証明書の要素を満たしているので、十分につかえます。特にこの書類は、証明書に記載された人が日本国籍を取得したと明記しているので、わかりやすいです。

ただ、原本を市区町村に提出するので、届け出前にコピーをして保管をしなければなりません。

帰化の戸籍届のコピー

帰化届は、帰化者の身分証明書を受け取った後、戸籍の窓口に届け出る書類です。帰化者の身分証明書と違い、本人が記入した書類なので、おすすめできません。

帰化届の戸籍届記載事項証明書とは

帰化届の戸籍届記載事項証明書は、帰化届の受付時に市区町村が受け取った届出書や付属書類の内容の証明書です。具体的には、帰化届と帰化者の身分証明書の内容が証明書として出てきます。しかも、証明書のコピーや本人が記入した書類ではなく、きちんと役所の証明文が記載されます。

私は、この帰化届の戸籍届記載事項証明書がおすすめなのですが、この証明書は取得する理由を説明しなければならず、戸籍では領事館等に拒否されたといった事情が必要になります。

また、届直後は市区町村で請求できますが、届出後、時間がたっている場合は、法務局が請求先になります。

国籍証明書取得後の手続き

国籍取得証明書を取得した後は、日本の証明書ですので、提出先の公用語に翻訳をして認証を受ける必要があります。国によっては、国家資格をもつ業者に翻訳を依頼しなければならないのも、他の日本の証明書を領事館等に提出する場合と同様です。

この認証の手続きがあるので、帰化者の身分証明書のコピーでも証明書になりえるのです。

まとめ

日本国籍を取得した方が、母国での手続きで必要となる「日本の国籍取得証明書」について解説しました。日本の公的機関が発行する証明書には、「国籍取得証明書」という直接的なタイトルのものは存在せず、通常は戸籍がその役割を果たします。しかし、海外では戸籍制度が一般的ではないため、日本の戸籍が国籍取得の証明として認められないことがあります。

国籍取得の事実を証明するためには、「誰が」「いつ」「日本国籍を取得したか」という情報が重要であり、戸籍もこれらの要素を満たしています。それでも戸籍が認められない場合には、以下の書類が国籍取得証明書になる可能性があります。

国籍取得証明書になりえる書類
  1. 帰化者の身分証明書:法務局から発行される、日本国籍を取得したことが明記された証明書。
  2. 帰化の戸籍届:本人が記入した戸籍の届
  3. 帰化の戸籍届の戸籍届記載事項証明書:市区町村又は法務局で取得できる、帰化届と添付書類の内容の証明書

これらの証明書を取得した後、提出先の国の言語に翻訳し、公証役場で認証を受けることで、母国での手続きを進めることができます。

私としては、帰化者の身分証明書のコピーをした後に、市区町村へ帰化届を届出て、出来上がった戸籍と帰化者の身分証明書のコピーを翻訳、公証役場での認証手続きをするのが、スマートだと考えます。

帰化者の身分証明書をコピーすることを忘れてしまった、身分証明書のコピーも領事館等に拒絶されてしまった場合は、戸籍届記載事項証明書の取得を検討するべきです。

この記事が、日本国籍を取得された方が、母国での手続きを円滑に進めるための一助となれば幸いです。

よくある質問

  • 日本の国籍取得証明書とは何ですか?なぜ必要なのでしょうか?
    日本の国籍取得証明書とは、日本の国籍を取得した事実の証明書で、一般的には戸籍がこれにあたります。 日本に帰化したことを母国に報告して、母国の手続きをする際に必要になります。
  • 日本の戸籍は、日本の国籍取得証明書として海外でも通用しますか?
    日本の戸籍は、国籍取得証明書になりますが、戸籍制度になじみのない国の領事館等では拒否されることがあります。
  • 母国の大使館・領事館に戸籍を提出しましたが、日本の国籍取得証明書として認められませんでした。どうすればよいですか?
    母国の領事館等に戸籍が日本の国籍取得証明書として認められないときも説明を繰り返してください。それでも認められないときは、日本国籍を取得したこと、その日付、本人に関する情報を証明できる公文書を追加で提出することになります。
  • 戸籍以外に、日本の国籍取得を証明する書類にはどのようなものがありますか?
    戸籍以外の日本の国籍取得を証明する公文書としては、帰化者の身分証明書や帰化届の戸籍届記載事項証明書が考えられます。
  • 帰化者の身分証明書は、どこで、どのように取得できますか?
    帰化者の身分証明書は、帰化申請が許可され、日本国籍の取得の効果が発生した後、法務局から交付されます。
  • 帰化届の戸籍届記載事項証明書は、どのような場合に有効ですか?また、どこで取得できますか?
    帰化届の戸籍届記載事項証明書は、戸籍等が領事館等で拒絶された後にやむを得ず利用することになります。証明の窓口は、帰化届直後は市区町村が、その後は法務局の戸籍課が窓口になります。
  • 国籍取得証明書を取得する際に、費用はかかりますか?
    戸籍の発行手数料は、450円です。帰化者の身分証明書、戸籍届記載事項証明書の手数料は無料です。
  • 取得した日本の国籍取得証明書は、そのまま母国に提出できますか?何か手続きが必要ですか?
    母国に提出する場合は、母国の公用語への翻訳と認証が必要になります。認証については公証役場で手続きをします。
    参考:公証人の押印証明:東京法務局
  • 日本の国籍取得証明書に有効期限はありますか?
    戸籍の有効期限は発行から3か月以内が原則ですが、有効期限は母国の手続き法によるので、領事館等に確認してください。
  • 日本国籍を取得したことを、母国に報告する義務はありますか?
    母国への報告義務は、母国の国籍等の法律にしたがうので、わかりません。母国の領事館、弁護士等に問い合わせることをお勧めします。 特に外国籍を取得することが母国の国籍の消滅事由になっている場合は、ペナルティが設定されていることもあるので、報告することが無難です。