旧姓に戻す手続をするにあたって、手続が難しいのではないか、許可されないのではないかと、不安に思う方も多いと思います。
そこでいくつか不安になる代表的なポイントを解説しようと思います。
また、一般的な旧姓に戻す手続については「離婚後に旧姓に戻さなかった人が旧姓に戻す手続き」の記事をご覧ください。
旧姓に戻す手続のための準備で不安になるポイント
旧姓に戻す手続のための準備の段階で、難しいと感じるポイントは2つではないかと思います。
戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を集めるのが難しい
旧姓に戻すため家庭裁判所へ氏の変更許可を申立てるには、結婚直前の戸籍から現在までの戸籍を裁判所に提出することが、一般的です。(管轄によっては現在の戸籍だけでも問題ない裁判所もあります。)
以前は、それぞれの戸籍の本籍の市区町村に一つずつ請求をしてそろえる必要がありました。(現在の戸籍は、マイナンバーカードを使って、コンビニ等で取得できます)
令和6年3月1日以降、一つの市区町村で全国の戸籍を取得できるような制度(参考:戸籍の広域交付制度)が開始しました。
これを使えば、お住いの市区町村で自分の「結婚直前の戸籍から現在までの戸籍全部事項証明書)戸籍謄本」を指定して請求すれば、1つの窓口でそろえることができます。
ただし最初の戸籍がデータ化されていない場合はそろわないこともあります。この場合は、取得できなかった戸籍を窓口や郵送で別途請求する必要があります。
申立書の理由に何を書けばいいのかわからない
通常の氏の変更の許可の場合は、やむを得ない事由を明記して、それを証明する必要があります
しかし、旧姓に戻す場合は、通常と違って、大幅に条件が緩和されて、不当な目的がない限り、やむを得ない事由はあまり問題になりません。
ですので、ご自身の現状をありのままに書いてしまって問題なく、無理に理由を書く必要はありません。
旧姓に戻す手続が許可されるかどうかで不安になるポイント
旧姓に戻す手続の許可されるかどうか不安を感じるポイントはいくつかあると思います。
これらが代表的な例だと考えています。
旧姓へ戻すことに反対している子供がいる
子供が旧姓に戻すことに反対している場合は、子供が成人しているか、未成年かで違いがあります。
子供が成人している場合は、分籍の手続きをして、その子供だけの戸籍をつくることができるので、子供の氏は元のままにすることができます。
子供が未成年の場合は分籍ができないので、子供の氏にも影響があります。また15歳以上の場合は、裁判所からその子供の意思を確認されるので、旧姓に戻すことを許可しないこともありえます。
離婚後、10年以上時間が経ってしまっている
離婚後に時間が経ってしまっている場合に、旧姓に戻すことを裁判所が許可するかどうかは、平成20年代半ばまではまちまちでした。
しかし、平成26年に高等裁判所で、離婚後に長い時間が経過していることは、旧姓に戻すことの可否について厳格に考慮する要素にならないと、判断されました。
これ以降、離婚後、長期間が経過していても、他に問題がなければ許可を得ることが容易になりました。
何度も結婚、離婚をしている
同じ人と何度も結婚、離婚をしている人も、それぞれ別の人と結婚、離婚をしている人もいらっしゃいます。
同じ人と何度も結婚、離婚をしている人は、問題になることはほとんどありません。
それぞれ別の人と結婚、離婚をなんどかしている人は、許可されないこともありえます。
すべての婚姻期間が短く、また短期間(特に直近数年で)に結婚・離婚を繰り返しているような場合は、難しいかもしれません。
過去に犯罪歴、破産歴等がある
一般的に過去に犯罪歴や破産歴がある場合は、氏を変更する許可を得る事はとても難しいです。
旧姓に戻す場合も同様ですが、刑の執行後又は破産による免責から、数年が経過している場合は、許可されることもあります。