離婚届の提出で旧姓へ戻る場合
離婚時に婚姻前の氏へ戻る場合、家庭裁判所の許可は必要なく、離婚届が受理されると戸籍上の氏は婚姻前の氏へ戻ります。
離婚後に旧姓へ戻したものの、やはり結婚中の氏へ変更したい場合は、家庭裁判所の氏の変更許可が必要です。
複数回の婚姻・離婚をしている場合で、以前の離婚の際に婚姻中の氏を継続して名乗っていると、最初の婚姻前の氏へ戻ることができず、離婚届によってその婚姻直前の氏になります。
離婚後や配偶者の死亡後に、戸籍上の氏を旧姓へ戻したいと考えたとき、「どんな手続が必要なのか」「今からでも戻せるのか」と迷う方は少なくありません。
離婚から10年・20年が経過していても、あるいは養親が亡くなった後であっても、旧姓へ戻せる可能性があります。まずは自分のケースがどの手続に当てはまるかを確認することが、最初の一歩です。
旧姓へ戻す手続は、離婚後も結婚時の氏を名乗っている場合、配偶者や養親が亡くなった場合など、状況によって異なります。
また、旧姓へ戻す理由、子どもの氏や戸籍への影響、どの旧姓へ戻れるのかなど、ケースによって確認すべき事項も異なります。
旧姓へ戻す手続は、司法書士として多くのご相談をいただく分野です。ケースごとの手続の違いを、できるだけ分かりやすく解説しています。
旧姓へ戻す手続は、離婚後も結婚中の氏を名乗っている場合や、配偶者・養親が亡くなった場合など、状況によって異なります。まずは全体像を確認し、ご自身のケースに該当する詳細記事へ進んでください。
同じ「旧姓へ戻す」という相談でも、婚姻によって氏が変わったのか、養子縁組によって氏が変わったのか、離婚後にどの氏を名乗っているのかによって、必要な手続は変わります。
以下のフローチャートとケース別の記事一覧で、該当するケースを確認してください。
旧姓へ戻す手続は、大きく次の4つのケースに分かれます。
以下のケース別記事から、該当するものを選んでください。
次に、相談件数が最も多い、離婚後に旧姓へ戻す場合から確認します。
離婚後に旧姓へ戻す方法は、離婚によって婚姻前の氏へ戻る場合と、離婚後も結婚中の氏を名乗り続けている場合とで異なります。
民法では、婚姻によって氏を改めた夫または妻は、離婚によって婚姻前の氏へ戻ることが原則です。一方で、離婚の日から3か月以内に届出をすることで、離婚の際に称していた氏をそのまま名乗ることもできます。
第七百六十七条 婚姻によつて氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によつて婚姻前の氏に復する。
2 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによつて、離婚の際に称していた氏を称することができる。
第七十七条の二 民法第七百六十七条第二項(同法第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定によつて離婚の際に称していた氏を称しようとする者は、離婚の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
離婚時に婚姻前の氏へ戻る場合、家庭裁判所の許可は必要なく、離婚届が受理されると戸籍上の氏は婚姻前の氏へ戻ります。
離婚後に旧姓へ戻したものの、やはり結婚中の氏へ変更したい場合は、家庭裁判所の氏の変更許可が必要です。
複数回の婚姻・離婚をしている場合で、以前の離婚の際に婚姻中の氏を継続して名乗っていると、最初の婚姻前の氏へ戻ることができず、離婚届によってその婚姻直前の氏になります。
離婚時に婚姻中の氏を継続して名乗る届出をしている場合は、家庭裁判所で氏の変更許可を受けた後、市区町村へ氏の変更届を提出して旧姓へ戻します。
実父母の介護や、子どもが大きくなったことをきっかけに旧姓へ戻したい場合など、それぞれの事情によって確認したいポイントが異なります。
家庭裁判所への申立てには、現在の戸籍謄本のほか、婚姻・離婚などの経緯が分かる戸籍が必要になります。管轄の裁判所によって必要な戸籍の範囲がちがうことがあるので事前に確認しておくと、準備をスムーズに進めることができます。
令和6年3月以降は、お住まいの市区町村の窓口で、本籍地が別の市区町村にある戸籍もまとめて請求できるようになりました。出生から現在までの戸籍をまとめて取得しておくと、手続きの準備を効率よく進めることができます。
申立前に確認したいこと|同じ戸籍にいる15歳以上の子がいる場合
旧姓へ戻す手続きでは、同じ戸籍に15歳以上の子がいる場合、その子の氏にも影響が及ぶため、子の同意が申立書の添付書類として必要になります。申立前に、子どもの氏の選択について意思確認をしておくことが重要です。
詳しくは氏の変更許可申立書の書き方|家庭裁判所への申立てを司法書士が解説で確認できます。
申立前に確認したいこと|同じ戸籍にいる15歳以上の子がいる場合
旧姓へ戻す手続では、同じ戸籍に15歳以上の子がいる場合、その子の氏にも影響が及ぶため、子の同意が申立書の添付書類として必要になります。申立前に、子どもの氏の選択について意思確認をしておくことが重要です。
詳しくは氏の変更許可申立書の書き方|家庭裁判所への申立てを司法書士が解説で確認できます。
配偶者や養親が亡くなったことをきっかけに、旧姓へ戻したいと考える方もいます。
配偶者や養親が亡くなっても、戸籍上の氏が自動的に変わることはありません。また、配偶者の死亡によって婚姻関係は終了しますが、姻族関係や戸籍上の氏はそのまま残ります。養親が亡くなった場合は、養子縁組は当然には終了せず、縁組によって変わった氏もそのまま継続します。
配偶者が亡くなった場合の旧姓へ戻す手続と、身分関係を終了させる手続は別のものです。たとえば、配偶者死亡後に旧姓へ戻す復氏届と、姻族関係を終了させる姻族関係終了届は、それぞれ独立した手続であり、一方だけを選択することも、両方を行うことも可能です。
婚姻によって氏が変わった場合と、養子縁組によって氏が変わった場合では、旧姓へ戻すための制度が異なります。配偶者死亡後の復氏は届出のみで完了しますが、養親死亡後の死後離縁は家庭裁判所の許可が必要になります。
婚姻によって氏が変わった方は、配偶者が亡くなった後も婚姻中の氏をそのまま名乗ります。旧姓へ戻したい場合は、復氏届を提出することで婚姻直前の氏へ戻ることができます。
復氏は、配偶者の死亡後に婚姻直前の氏へ戻す手続です。姻族関係終了届(いわゆる死後離婚)とは別の手続であり、旧姓へ戻すだけであれば復氏届のみで足ります。なお、復氏届を提出せずに姻族関係終了届だけを提出することもできます。
復氏届はいつでも提出できます。配偶者の死亡後すぐに届け出る必要はなく、ご自身の状況に合わせて手続のタイミングを選ぶことができます。
養子縁組によって氏が変わった方は、養親が亡くなっても養子縁組は当然には終了しません。縁組直前の氏へ戻したい場合は、家庭裁判所の許可を受けて死後離縁をすることになります。
死後離縁は、養子縁組の一方当事者が亡くなった後に、家庭裁判所の許可を得て離縁する手続です。配偶者死亡後の復氏とは対象となる身分関係や適用される制度が異なります。
配偶者や養親が亡くなったことを契機に旧姓へ戻したい場合は、婚姻による氏の変更なのか、養子縁組による氏の変更なのかを確認することが、必要な手続を判断する出発点になります。
離婚後も結婚中の氏を継続して名乗っている方が旧姓へ戻す場合は、家庭裁判所の許可を受けた後、市区町村へ届出をする二段階の手続です。
氏は戸籍によって公証され、社会生活のさまざまな場面で使用される重要な事項です。そのため、一度定まった氏を変更するには、家庭裁判所が変更の必要性を審理したうえで可否が決まります。
家庭裁判所では、氏を変更する「やむを得ない事由」があるかどうかを審理します。許可だけでは戸籍上の氏は変わらず、市区町村へ氏の変更届を提出して初めて戸籍に反映されます。
家庭裁判所へ提出する氏の変更許可申立書は、氏の変更を認めてもらうための書類です。一方、市区町村へ提出する氏の変更届は、許可された内容を戸籍へ反映するための届書です。提出先や目的が異なるため、それぞれの役割を理解して準備することが大切です。
また、養親の死亡後に死後離縁をして旧姓へ戻す場合も家庭裁判所の許可が必要になりますが、適用される制度や審理の内容は氏の変更許可とは異なります。詳しくは養親が亡くなった後の死後離縁|氏の扱いと手続のポイントで確認できます。
手続を始める前に、どのような事情で旧姓へ戻したいのか、どの旧姓へ戻ることができるのかを整理しておくと、申立書の作成や必要資料の準備を進めやすくなります。また、許可後は速やかに氏の変更届を提出できるよう、届出の流れもあわせて確認しておくと安心です。
同籍する子がいる場合に確認したいこと
氏の変更許可を得て市区町村へ氏の変更届を提出すると、戸籍の筆頭者だけでなく、同じ戸籍に記載されている配偶者や子の氏も、当然に変更後の氏へ揃います。
同籍する子どもが15歳以上である場合、実務上は、その子の意向を確認したうえで手続を進めることが一般的です。申立書を準備する段階から、子どもの状況を整理しておくと安心です。
氏の変更手続全般については、氏の変更手続の一覧で確認できます。
まず、氏が変わった原因を確認します。離婚後も結婚中の氏を名乗っている場合、配偶者が亡くなった場合、養親が亡くなった場合では、必要な手続が異なります。このページの全体図とケース別の記事で、該当するケースを確認できます。
離婚後に長期間が経過していても、旧姓へ戻せる可能性があります。離婚後も結婚中の氏を名乗り続けている場合は、家庭裁判所の許可を受けて旧姓へ戻す手続を検討します。
子どもの成人・就職・結婚・独立をきっかけに旧姓へ戻したい場合も、離婚後も結婚中の氏を名乗っていれば、家庭裁判所の許可を受けて旧姓へ戻す手続を検討します。
子どもの氏の扱いは、子どもの年齢や戸籍の状況によって異なります。同じ戸籍にいる子どもは、親の氏の変更によって当然に氏が変わる場合があります。一方で、別途、家庭裁判所の子の氏の変更許可を受ける手続が必要になる場合もあります。詳しくは子どもの氏の変更手続で確認できます。
配偶者が亡くなった後に旧姓へ戻す場合は、家庭裁判所の許可は不要で、市区町村へ復氏届を提出する手続になります。姻族関係終了届とは別の手続です。
養親が亡くなっても、養子縁組は当然には終了しません。養子縁組によって氏が変わった方が旧姓へ戻したい場合は、家庭裁判所の許可を受けて死後離縁をする手続になります。
複数回の婚姻・離婚がある場合や、以前の離婚で婚姻中の氏を名乗る届出をしている場合は、戻れる氏が想定している旧姓と異なることがあります。戸籍の経過を確認したうえで、戻ることができる氏を判断します。
費用や期間は、手続の種類によって異なります。復氏届のように届出のみで完了する場合は費用はほとんどかかりませんが、家庭裁判所の許可が必要な場合は申立費用や収入印紙代が必要になります。詳しくは旧姓に戻す手続にかかる費用と期間で確認できます。
相談できます。ご相談では、現在の戸籍の状態、氏が変わった経緯、旧姓へ戻したい理由などを確認し、必要な手続や準備する資料を検討します。
旧姓へ戻す手続は、離婚後も結婚中の氏を名乗っている場合、配偶者が亡くなった場合、養親の死亡後に死後離縁をする場合など、状況によって必要な手続が異なります。
離婚後に婚氏を続けている方が旧姓へ戻す場合は、家庭裁判所の許可と市区町村への届出が必要です。配偶者の死亡後に旧姓へ戻す場合は復氏届、養親の死亡後に旧姓へ戻す場合は死後離縁の手続になります。
どの手続が必要か分からない場合は、現在の戸籍の状態と氏が変わった原因を確認することが出発点になります。ご自身のケースに該当する関連記事を参照し、必要に応じて専門家へご相談ください。