戸籍上の氏名の誤記と戸籍訂正の手続と改名・改姓手続の関係

戸籍訂正とは

戸籍の記載に誤りや漏れ又は無効な戸籍届によって記録されたものを、正しい記録に訂正する手続きです。

手続きとしては、氏名の変更と同様に家庭裁判所の許可を得て、市区町村に戸籍訂正の申請することになります。

まず、113条は法令上無効であるような記載内容の場合、記載に間違い又は漏れがある場合に訂正できるという条文です

次に、114条は、戸籍の記録を作る原因になる行為が無効である場合に訂正できるという条文です。

戸籍訂正と氏名の変更

氏の場合は戸籍の訂正手続きによって、戸籍の記載を変更できる場合はほぼありません。

名前の変更の場合はどうでしょうか。例えば、出生届に記入した子の名前と出来上がった戸籍に記録された子の名前が誤っていたような場合です。

出生届は正しく、戸籍の記載が誤っている場合

現在では起こらない事態だと思いますが、この場合は市区町村のミスですので、市区町村の職権で訂正できる可能性があります。まずは窓口に相談するのが良いです。ただし出生届出を提出した後、時間が経っているような場合は市区町村では対応してもらえません。

出生届に間違いがあった場合

子の名前の漢字を間違えて出生届に記入してしまったような場合です。こういった場合でも戸籍の記載の誤りと言えないわけではないので、戸籍の訂正ではなく名の変更の手続きをすべきという裁判例があります。

ミドルネームがある場合

外国の市民登録では、ミドルネームがあるけれど、日本の戸籍上はミドルネームがない場合は、戸籍の記録に漏れがあるとして、戸籍訂正をできる場合があります。

また、外国の市民登録上の名の発音と戸籍上のカタカナが大きく違っている場合も戸籍訂正できる場合があります。

例えば、本来はフランス語の発音の名前が、英語の発音やヘボン式の読みで戸籍に記録されているような場合です。

氏の訂正をする場合

正確にいうと氏の戸籍訂正にはあたりませんが、配偶者が外国籍の場合、婚姻で日本の戸籍に記録した後、外国籍配偶者の本国へ婚姻の届をすることで、その配偶者の氏が変わることがあります。

この場合は日本の戸籍に記録されている配偶者の氏名を訂正することになります。

また、婚姻届けに記載した配偶者のカタカナの読み方が正しくないことで、配偶者欄のヨミガナと実際の発音が乖離していることがありますが、これも訂正できる場合があります。

氏の変更と戸籍訂正の複合的な手続

特殊な状況ですが、氏の変更と戸籍訂正の手続きを複合的にすることもあります。

詳細は「外国人の親又は配偶者の表記と訂正手続」の記事をご覧ください。

その他に戸籍訂正が可能な場合

上記の他、戸籍の記録に無効な事項、誤り、記録の漏れがある限り、氏名にかかわらず戸籍の訂正は可能です。

しかし裁判所の許可を得る必要があるので、無効であること、誤りがあることの証明は必要になりますので、どんなことでも訂正できるとは限りません。

手続き上の注意点

戸籍の訂正は、手続き上、氏名の変更とは大きな違いが一つあります。

氏名の変更の場合は、裁判所の許可を得た又は許可が確定した後に戸籍の届をしなければならない期間がありません。しかし、戸籍訂正の場合は、許可が確定した後1か月以内に戸籍の届を市区町村の窓口に提出しなければなりません。

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