生まれた時の氏に戻す(復氏する)手続き

子の氏の変更手続き

両親の離婚等で、子供の時に氏が変わっている方も多くいらっしゃいます。

例えば、両親が離婚して、母の氏が旧姓に戻った後、子供が母の戸籍に入ったような場合です。

この場合は、母の離婚後に家庭裁判所へ子の氏の変更許可の申立てをして、子供を母の戸籍に入籍していることになります。(子の氏の変更手続きは、母が婚姻中の氏を継続的に名乗った場合でもすることができます)

生まれた時の氏に戻す手続き(復氏の手続き)、その1

その後、子供本人が父の氏(生まれた時の氏)に戻したいと考えることもよくあります。

子供本人が生まれた時の氏に戻す手続き(復氏の手続)は、民法791条4項の手続きが簡単です。

本人が離婚し婚姻中の氏を続称した後、結婚前の氏に戻したい場合は「旧姓に戻したい方/旧姓に戻す手続き」のページをご覧ください。

民法791条4項

(子の氏の変更)
第七百九十一条 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
(中略)
4 前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。

ご本人が成人になる直前又は成人になった直後であれば、市区町村の戸籍の窓口に届を提出するだけで、生まれた時の氏に復氏する事が可能です。(父母の現在の戸籍が必要になることもあります。)

成人年齢の引き下げ

生まれた時の氏に戻す手続き(復氏の手続き)、その2

民法791条4項手続きは、成人後1年以内の期間に手続きをしなければなりません。では、ご本人が未成年の時に、又は成人してから1年を超えてしまった時には、生まれた時の氏に戻せないのでしょうか?

この場合は家庭裁判所の許可を得て、生まれた時の氏に戻す(複氏する)事ができます。

生まれた時の氏から氏が変わった原因

生まれた時の氏から現在の氏に変わった事情によっては、生まれた時の氏に復氏することができません。例えば以下のような場合です。

  • 成人後に、ご本人自身で生まれた時の氏から、別の氏に変更した。
  • 生まれた時の氏から氏が変わった後、婚姻又は養子縁組をして、他の人の戸籍に入っている。

家庭裁判所でする手続き

家庭裁判所での氏の変更手続きには、次の二種類の手続きがあります。

  • 一つ目は、戸籍法107条1項の氏の変更手続き、
  • 二つ目は、民法791条1項、戸籍法98条の子の氏の変更/子の入籍手続き

しかし、生まれた時の氏に復氏する場合は、二つ目の民法791条1項、戸籍法98条の子の氏の変更/子の入籍手続き(複氏の手続き)をすることになります。

一つ目の戸籍法107条1項でも復氏できますが難易度が高く、二つ目の民法791条1項、戸籍法98条の子の氏の変更/子の入籍手続きの方が簡単で、また費用や時間の節約にもなりますし、過去の裁判所の見解でも、子の民法791条1項の氏の変更手続きでするとされています。

戸籍の手続き

家庭裁判所の許可を得た後、戸籍の届出をすると、復氏する先の父又は母の戸籍にご本人が入籍して、父又は母の氏になります。

またご本人に配偶者がいる場合は、一度、本人が父又は母の戸籍に入ってから、すぐにご本人夫婦の復氏後の氏の新しい戸籍がつくられます。

家庭裁判所での復氏の手続き

手続きはご本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをすることになります。

申立書のほかに以下の書類が必要になります。

  1. ご本人の現在の戸籍全部事項証明書
  2. 父又は母の現在の戸籍全部事項証明書

その他、ご本人に配偶者がいる場合は、その配偶者の複氏についての同意書。また復氏する先の戸籍に筆頭者以外の人がいる場合(例えば、再婚相手やその連れ子)は、その人達の複氏についての同意書が必要になることがあります。

入籍先の戸籍の筆頭者である父又は母の同意書は原則不要ですが、裁判所によっては求められることもあります。