旧姓に戻す手続きにかかる費用には、さまざまなものが発生します。簡単な状況であっても、裁判所の手数料が2,500円程度、戸籍代1,350円は、最低でもかかります。
しかし、一人一人の状況は違うので、具体的な金額を把握していないと、予期せぬ問題に直面する可能性もあります。このページでは、旧姓に戻す手続きにかかる費用の詳細と、手続きをスムーズに進めるための便利なテクニックを提供します。必要な書類や手順を理解し、無駄なトラブルを避けるための情報をまとめています。安心して旧姓に戻す手続きを進められるよう、費用に関する重要なポイントや節約や時短のコツもご紹介します。これから手続きを始める方にとって、役立つ情報を提供します。
旧姓に戻す手続きに関する費用の概要
旧姓に戻すための費用は、裁判所の氏の変更許可申立の手続のための手数料と、戸籍を集めるための費用が必要になります。
それに加えて、専門家に手続を依頼する場合は専門家の報酬(約8~20万円)も手続に要する費用になります。
戸籍を集めるための費用
戸籍を集めるための費用は、少なくとも1,350円かかります。本人の現在の戸籍、結婚中の戸籍、婚姻直前の戸籍をそれぞれ1通ずつ取得する必要があるので、3通は取得しなければなりません。除籍になっていない戸籍は、市区町村の手数料が1通あたり1律450円と決められているので、最低でも1,350円がかかります。
裁判所に支払う手数料
家庭裁判所へ支払う手数料は、収入印紙で支払う申立手数料800円と切手で納める予納郵券1,200円~2,000円程度の二種類があり、。
旧姓に戻す手続きをする場合には、裁判所のホームページに書いてある切手の内訳と実際に必要になる切手の内訳が違うこともあります。
専門家に支払う報酬
弁護士、司法書士といった専門家に依頼をする場合は、専門家の報酬を支払う必要があります。現在、専門家の報酬は自由化されていますが、おおよその目安としては、8万円から20万円(消費税を含まない金額)が一般的だと思われます。
戸籍を集めるための手数料の詳細
裁判所に旧姓に戻すための申立てに必要な戸籍の手数料は、最低でも1,350円必要です。
証明書の種類 | 発行手数料 |
---|---|
現在の戸籍 | 1通あたり450円 |
除籍又は改製原戸籍 | 1通あたり750円 |
住民票又は戸籍の附票 | 市区町村で違います (1通あたり200円から400円程度) |
一般的に必要な戸籍の費用
一般的に集めなければならない最低限の戸籍の費用は1,350円です。
内訳は、本人の現在の戸籍、結婚中の戸籍、結婚直前のそれぞれの戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)ですので、この合は、戸籍を3つ揃えるだけで足りるので、450円の戸籍を3通取得するので、450円/1通×3通=1,350円になります。
この他に、遠方の役所に郵便で請求する場合は郵送料と戸籍代のための定額小為替の発行手数料がかかります。
何度か結婚と離婚をしている場合の戸籍の費用
結婚と離婚を何度かしている場合は、最初の結婚直前の戸籍から現在までのすべての戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)を揃える必要があります。
具体的な例として、結婚と離婚を3回している場合で説明します。
- 婚姻前
- 最初の結婚
- 最初の離婚
- 2回目の結婚
- 2回目の離婚
- 3回目の結婚
- 3回目の離婚
この場合は、婚姻前の親の戸籍からそれぞれの結婚と離婚ごとに戸籍があるので、合計で7通の戸籍を取得する必要があります。また、3番目と5番目の戸籍は除籍になっています。
戸籍全部事項証明書(謄本)の発行手数料は1通450円、除籍全部事項証明書(謄本)は1通750円ですので、1、2、4、6、7の戸籍と3、5の除籍を取得すると、手数料は450円×5、750円×2の合計3,750円になります
また戸籍を取得するために役所へ出向く交通費や郵便料金が別途発生します。
両親が既に死亡している場合や途中で転籍をしている場合の戸籍の費用
両親が既に死亡している場合は、上の例の1.の戸籍が除籍になっています。除籍の全部事項証明書(謄本)は発行手数料が750円ですので、その分戸籍の取得費用は増加します。
また、最初の結婚以降に本籍を別の市区町村に移している場合は、移す前の戸籍が除籍になるので同様に発行手数料が増えることになります。
- 婚姻前(その後、両親が死亡)
- 最初の結婚
- ほかの市区町村へ戸籍を転籍
- 最初の離婚(その後、元夫死亡)
- 2回目の結婚
- 2回目の離婚
- ほかの市区町村へ戸籍を転籍
この場合も合計で7通そろえる必要がありますが、5番目と7番目の戸籍以外は全て除籍になっているので、発行手数料は450円×2、750円×5の合計4,650円必要になります。
戸籍の附票を求められるケース
日本に住民票のない人は、戸籍の附票を求められます。なぜならば、裁判所の管轄は日本の最後の住所の市区町村が基準になるので、これを証明するために戸籍の附票を取得する必要があります。
戸籍の附票とは、戸籍に記録された人の住所の履歴を記録したもので、国外に引っ越した人の場合は、直前までの日本の住所と最初に引っ越した外国だけが記録されています。最新の戸籍の附票でも、日本国内の住所が記録されていない場合は、過去に遡って最後の住所が分かる戸籍の附票を取得する必要があります。
発行手数料は、住民票と同じで市区町村ごとで違いますが、概ね1通あたり200円から400円程度です。
戸籍の集めるために便利なテクニック
戸籍の集めるために便利なテクニックとして、戸籍の広域交付の手続きがあります。令和6年(2024年)3月から始まった戸籍の広域交付の制度では、最寄りの市区町村で自分(と親、子供)の戸籍を、原則すべて取得できます。
以前は現在の戸籍を手掛かりに婚姻直前の戸籍まで順をおって、それぞれの戸籍のある市区町村へ請求していたので、郵送料や交通費、定額小為替の発行手数料、時間がかかっていました。特に定額小為替の手数料が、1枚ごとに200円もかかるので、複数の戸籍を取得する際に高額になっていました。しかし、現在は広域交付の制度で一つの役所の窓口で戸籍をそろえられるようになったので、時間とお金をぐっと節約できます。
注意点は、昔の戸籍で広域交付に対応していない戸籍があること、役所の出張所等だとうまく対応できないこともあること、市区町村によっては数週間時間がかかってしまうことがあることの3つです。
対応していない戸籍がある場合や取得まで2週間以上時間がかかるようであれば、広域交付ではなく従前どおり取得していった方が良いです。
最寄りの役所の証明書の窓口で、以下の2つのポイントを係の人に伝えれば、旧姓に戻す手続きに必要な最初の結婚直前の戸籍までの戸籍1式そろえることができます。
- 「戸籍の広域交付の制度をつかいたい」
- 「自分の(最初の)婚姻直前の親の戸籍から現在までの全ての戸籍が欲しい」
ポイントは「(最初の)婚姻直前の親の戸籍」です。こう言っておけば最初の婚姻以降の戸籍だけではなく、必要な戸籍まで手配してもらえます。
裁判所に支払う手数料の内訳(総額は2,000円~3000円程度)
裁判所の手数料(一律800円)
旧姓の戻すための家庭裁判所への申立手数料は、一律800円と決まっています。具体的には800円分の収入印紙(400円の収入印紙2枚が一番簡単です)を、申立書と一緒に家庭裁判所へ提出することになります。
通信用の切手代(1,200円程度~)
裁判所との連絡用の郵便切手を、申立書を家庭裁判所へ提出する時に、裁判所が指定した内訳で納める必要があります。合計金額や切手の種類は、裁判所ごとに定めているので、申立て前に裁判所のホームページ等で確認する必要があります。
首都圏では、1,700円程度の郵便切手を裁判所に納めることが多いです。(2024年10月1日に郵便料金が値上げになるので、これにあわせて増額されると考えられます)
切手代についての注意事項
まれに家庭裁判所のホームページに詳細な説明がなく、切手は一律500円程度の金額と内訳が記載されていることがあります。ところが旧姓に戻す手続きの場合は、別途切手の内訳を指定している場合が多く、家庭裁判所の窓口で確認した方が良いです。また、手続きが長引くような場合は、追加で郵便切手を求められることもあります。
専門家の報酬(8万円~20万円程度)
専門家の報酬は、弁護士であれば14万円~、司法書士の場合は8万円~であることが多いです。依頼先の専門家によって報酬の支払い方に、それぞれ違いがあります。
書類作成報酬
書類作成報酬とは、申立書等、裁判所へ提出する書類の作成に対する代金として、専門家へ支払う報酬です。多くの場合は、書類を作成後、裁判所へ申立書を提出するまでに、報酬の支払いをすることが多いです。
弁護士であれば、手続代理人になるので、このパターンになることはありません。
着手金と成功報酬
着手金は、専門家が手続に着手するために支払う報酬です。一般的には依頼後すぐに支払います。
成功報酬は、手続の目的を達成したことに支払う報酬です。旧姓に戻す手続きであれば、家庭裁判所の許可されたことで目的が達成されるので、許可された後に支払います。
このバリエーションとして完全成功報酬というものがあります。着手金はなく、手続が成功した時だけ報酬を支払う契約で、旧姓に戻す手続きの場合は、裁判所に許可された後に支払います。一般的には、手続が成功に終わる可能性が高い場合に選ばれます。
タイムチャージ制
タイムチャージ制は、専門家が手続のために使った時間に対して報酬を支払う方法です。あらかじめ1時間あたりの報酬をいくらと金額を定めて、一定期間ごとに実際に作業をした時間を集計して、支払うことになります。手続の難易度が高く、結果を予測することができないような場合に、設定されることが多いです。
その他の費用
この他に以下のような報酬・手数料等が発生することもあります。
- 戸籍等の取得を代行する場合に、戸籍代等と郵送料又は交通費とは別に専門家の手数料
- 法令、専門文書等の調査料
- 外国文書の翻訳料
- 裁判所へ同行することへの日当交通費
当事務所の報酬
当事務所の旧姓に戻す手続きの報酬は、書類作成報酬を設定しています。書類作成報酬の金額は66,000円(消費税を含む)です。
この他に戸籍や住民票の取得を代行する場合は、戸籍・住民票代と郵送料をいただき、代行手数料はいただきません。また、調査料等の名目で追加の費用をいただくことはありません。
首都圏以外の裁判所へ同行を希望される場合は、日当交通費をいただきますが、首都圏の場合はいただきません。旧姓に戻す手続きの費用について、よくある質問(FAQ)
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旧姓に戻す手続きにかかる家庭裁判所の手数料はいくらですか?家庭裁判所の手数料は、収入印紙800円と1,500円~2,200円分の切手が必要です。管轄の裁判所によって切手の内訳、総額は変わります。首都圏の場合は1,700円程度である場合が多いです。
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旧姓に戻す手続きに戸籍の発行手数料はいくらですか?戸籍を取得するための発行手数料は、最低でも1,350円必要です。結婚・離婚の回数が多い場合、転籍をしている場合は、数千円になることもあります。
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弁護士や司法書士等専門家の報酬はいくらくらいですか?専門家に依頼をする場合の報酬は、おおよその目安として6万円から16万円程度が一般的だと思われます。