スペイン、ポルトガルやブラジル、メキシコ等の中南米のスペイン語・ポルトガル語の文化の国では、子供の氏は、父母それぞれの父系の氏をひとつづつとって、父の氏+母の氏(又は母の氏+父の氏)になります。
日本人の親とスペイン語、ポルトガル語圏の外国人親との間の子供の日本の戸籍上の氏は、日本人親の氏になります。
この場合、子供は戸籍法107条第4項の手続をして、外国人親の氏へ変更することができます。
戸籍法107条第4項の手続では、戸籍に記録された外国人親のカタカナ表記の氏へ変更することが原則です。
ところが、戸籍先例では、外国人親の氏のうち、子供に引き継がれる父系の氏のみに変更することができます。
戸籍法107条第4項の手続きについては、「外国人親の氏へ日本の戸籍の氏を変更する手続」をご覧ください。
手続の注意点
この場合は、一般的な外国人親の氏への変更許可手続(戸籍法107条第4項)に必要な書類のほかに、外国人親の母国の法律や行政規則、慣習等で、親の氏のうち一つを子供が承継することを裁判所に証明する必要があります。
具体的には、母国の法令の原文や、市役所や市民登録機関のパンフレットやホームページ、慣習であればこれを説明できる文献等です。
さらに、これを日本語に翻訳する必要があります。ただし、翻訳は誰がしても問題ありませんので、ご家族の翻訳でも大丈夫です。
子供の氏を外国人親の氏+日本人親の氏と変更できるか
子供の氏を外国人親の氏への変更許可手続(戸籍法107条第4項)で、外国人親の氏+日本人親の氏(又は日本人親の氏+外国人親の氏)と変更できるのかは、公開されている審判例、戸籍先例には、見当たりません。
個人的には、許可されても良いのではないかと考えます。
問題点としては、外国人親が日系人で、日本の氏が子供に承継される場合に、子供の氏が、日本の氏+日本の氏となります。
しかし、日本の法律上は、結合氏(複合氏)は認められていないので、これと紛らわしいことになることを、裁判所や戸籍担当の役所は嫌がるはずです。
ですので、許可を得る事は難しいのではないかと思います。
外国人親が日系人の場合
外国人親が日系人で、子供に承継される氏が日本の氏の場合でも、子供の氏は、原則戸籍に記録されているカタカナの氏になります。
そうであっても、日系の父、祖父、曾祖父の日本の氏の漢字が昔の記録から判明するときは、外国人親の氏へ変更する子供の氏を漢字にすることはできます。