戸籍上の外国人親の氏名の表記
日本国籍ではない人が、日本の戸籍に入ることはありません。しかし、配偶者や親(実親・養親)が外国人の場合は、その外国人の氏名が日本の戸籍に記載されます。
この場合、住民票や在留カードと違い、その外国人の氏名はカタカナで表記されます。
ところが日本語と外国語の発音の違いで、出生届等の際にその外国人親の氏名のカタカナ表記があまり正確ではないことも良くあります。
また昭和60年以前は、日本の戸籍には「ァ」や「ッ」等を記入することができず、「ア」、「ツ」等に置き換えられていました。
戸籍上の外国人親のカタカナ表記が正しくない場合
外国人親のカタカナ表記が正しくない場合は、戸籍の外国人親の氏を訂正してから、戸籍法107条第4項の手続をするのが原則です。
しかし、「ァ」・「ッ」と「ア」・「ツ」や「ヴィ」・「ビ」といったように、出生届時に使えなかったカタカナや軽微な誤りの場合は、戸籍法107条第4項の手続のみで正しいカタカナ表記に変更できます。
戸籍の訂正が必要な場合は、こちらの「外国人の親又は配偶者の表記と訂正手続」の記事もご覧ください。
手続上の注意点
外国人親の氏の正しいカタカナ表記へ、戸籍の訂正をせずに直接変更するには、二つのポイントを家庭裁判所に証明する必要があります。
- 正しいカタカナ表記
- 戸籍上の親の氏のカタカナ表記に軽微なあやまりがあること
正しいカタカナ表記について
正しいカタカナ表記は、法律で定められているわけではありません。
日本国内で、外国人親と同じ氏の人が、一般的にどうカタカナ表記されているかを説明すれば十分です。
戸籍上の親の氏のカタカナ表記に軽微なあやまりがあること
上と同様に正しいカタカナ表記は法律で決められたものではありません。
しかし、「ァ」・「ッ」と「ア」・「ツ」といった戸籍上で明らかにわかるような、簡単な間違いでなければなりません。
手続の難易度
この手続自体は、あまり難しくありません。
しかし、実質、戸籍法107条第4項の手続と戸籍の訂正を、一つの手続きですませてしまう性質上、事前に本籍のある市区町村の戸籍担当者と相談することをお勧めします。
手続後の戸籍
戸籍法107条第4項の手続と戸籍の訂正を一つの手続きですませると書きましたが、あくまで外国人親の子の氏の変更手続きです。
したがって裁判所の許可を得て、新しくなった戸籍の父母の欄の氏名や、日本人親の配偶者の氏名のカタカナは、変更されません。