令和5年の戸籍法の一部の改正2>
令和5年6月に戸籍法を含むいくつかの法律の改正がありました。
これまでは戸籍上の氏名にフリガナはありませんでした。ところが、マイナンバーカードやパスポート等に氏名の読みが記録されていました。
しかし、これらの氏名に法律的な根拠がなく、取り扱いが統一されていませんでした。
そのため、公的な記録のフリガナ(及びローマ字表記)に法律的な根拠を持たせ、統一的な取り扱いにするため、マイナンバーの法律の改正にあわせて戸籍法の一部が改正されました。
氏名のフリガナの記録
氏のフリガナは、戸籍の冒頭の本籍、筆頭者が記録されている欄に記録されます。
名のフリガナは、戸籍の各個人の欄の左側の名前の漢字が記録されている欄に記録されます。
また、戸籍だけではなく、戸籍の附票にもフリガナが記録されます。
戸籍法改正後のフリガナの記録
2024年2月時点では、いつから氏名のフリガナの制度が始まるかは決まっていません。(令和7年5月頃を予定しているそうです)
制度が始まった時点で、各市区町村から戸籍に記録される予定のフリガナの通知書が発送されます。
制度が始まってから1年以内であれば、氏名のフリガナを証明できる資料を提出すれば、1回だけフリガナを変更することができます。
出生や帰化の場合
制度が始まった後、出生や帰化等で新しく戸籍に記録される人は、出生届や帰化届に氏名のフリガナを記載しなければなりません。
改正後の改名・改姓手続
改正後は、フリガナが戸籍の氏名の一部になり、戸籍届の審査の対象になります。
このため、改名・改姓を家庭裁判所に申立てる際にも、新しい氏又は名前とそのフリガナを申立書に記載しなければならなくなります。
また、新しい氏又は名前の読みが、現在のものと変わらない場合であっても、フリガナを記載しなければならないようです。
氏又は名の戸籍上のフリガナのみ変更
改正後は、フリガナも戸籍の一部になるので、氏又は名のフリガナのみを変更するにも、家庭裁判所の許可を得る必要があります。(戸籍法107条の3及び107条の4)
家庭裁判所の許可を得るには、氏のフリガナについては「やむを得ない事由」、名のフリガナについては「正当な事由」が、求められます。
この「やむを得ない事由」、「正当な事由」は、現在の改名・改姓のための「やむを得ない事由」、「正当な事由」とほぼ同一だと考えられます。
「やむを得ない事由」、「正当な事由」については、「氏の変更許可(改姓)のご相談」、「名の変更許可(改名)のご相談」もご覧ください。
現在は、住民票の読み仮名については各市区町村ごとで違いがあったり、制度ごとに統一的な基準がありませんでしたが、改正後は全て戸籍のフリガナに準拠するので、フリガナのみの変更も厳格に扱われることになるのだと思います。