名の変更許可申立書|必要書類と各欄の書き方を司法書士が解説

名の変更許可申立書の作成をイメージした図

名の変更(改名)をするには、家庭裁判所に名の変更許可を申立て、許可を得る必要があります。申し立てには、名の変更許可申立書、戸籍などの公的証明書と正当な事由を裏付ける証拠資料の添付が必要です。

この記事では、申立て前に確認しておくべき必要書類、令和7年5月に新しくなった申立書の様式、各欄の記入方法、申立書を作成する際の注意点まで、司法書士が実務の目線で解説します。

申立て前に確認しておくこと

名の変更許可の申立てで提出する書類は、大きく分けて二種類あります。ひとつは申立人の身分関係などを確認するための公的証明書、もうひとつは正当な事由を裏付ける証拠資料です。

申立てに必要な公的証明書

名の変更許可の申立てには、申立人の現在の戸籍全部事項証明書を添付します。戸籍全部事項証明書は、申立人の現在の氏名や身分関係、過去の名の変更の有無を、家庭裁判所が確認するための書類です。

名の変更許可の申立てでは、過去の戸籍まで求められることは原則としてありません。ただし、申立ての内容や戸籍上の経過によっては、追加の戸籍の提出を求められることがあります。

戸籍全部事項証明書の取得方法を確認する

取得先や取得方法は「戸籍謄本の取得方法|窓口・郵送・コンビニ・広域交付の違い」で解説しています。

住民票や戸籍の附票は、すべての申立てで必ず必要になるわけではありません。ただし、現在の住所や過去の住所の変遷を明らかにするため、提出を求められます。住民票や戸籍の附票をあらかじめ準備するかは、申立書に記入する内容や裁判所の案内を踏まえて判断します。

戸籍全部事項証明書以外に必要となる公的証明書は、申立ての理由や申立人の状況によって異なります。

証拠資料について

証拠資料は、公的証明書とは異なり、「正当な事由」にあたる事情を家庭裁判所に説明するための資料です。どのような証拠資料が必要になるかは、名を変更したい理由によって大きく異なります。

代表的な例として、通称名を長期間使用していることを理由とする場合は、その使用実績を示す資料が必須資料となります。一方、それ以外の事情を理由とする場合は、必要となる証拠資料も個別に異なるため、一律に示すことはできません。

正当な事由ごとの証拠資料を確認する

正当な事由にあたる主な事情や、それぞれの証拠資料の傾向は、「改名が認められた例の解説:裁判所はどのような基準で許可するのか」の記事で解説しています。

申立書に記載した理由と、添付した証拠資料の内容が食い違っていると、正当な事由があると認められないことがあります。申立書の記入内容は、証拠資料に基づいて整理することが大切です。

各欄の書き方

名の変更許可申立書は、裁判所の公式サイトからダウンロードできます。現在の申立書は、令和7年5月に新しくなった様式です。

申立書の様式をダウンロードする

最新の様式は「裁判所の公式サイト(名の変更許可の申立書)」から入手できます。

申立書は2ページで構成されています。1ページ目には、宛先裁判所、添付書類、申立人や法定代理人の情報を記入します。2ページ目には、申立ての趣旨と申立ての理由を記入します。

以下で、申立書の全体像を確認したうえで、各欄の書き方を順に解説します。

名の変更許可申立書1ページ目の全体イメージ
名の変更許可申立書 1ページ目
名の変更許可申立書2ページ目の全体イメージ
名の変更許可申立書 2ページ目

宛先裁判所の欄と記名押印欄

名の変更許可申立書の宛先裁判所と記名押印欄
宛先裁判所の欄と記名押印欄

申立書の上部には、申立先の家庭裁判所、申立書の作成日、申立人または法定代理人の氏名を記入して押印します。

申立先の家庭裁判所と作成日

宛先には、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所を記入します。地域によっては本庁ではなく支部が管轄するため、申立て前に本庁・支部まで確認します。

日付欄には、申立書を作成した年月日を記入します。

申立人が15歳以上の場合

名を変更する本人が15歳以上の場合は、本人が申立人となり、現在の戸籍に記載されている氏名を記入して押印します。変更を希望する新しい名を記入する欄ではありません。

申立人が15歳未満の場合

名を変更する本人が15歳未満の場合は、法定代理人が本人に代わって申し立て、記名押印します。誰が法定代理人として申し立てるかは、父母の婚姻状況や親権者の定めによって異なります。

ケース 申立て・記名押印をする人
父母が婚姻中で、父母双方が親権者 原則として父母が共同で申立て、連名で記名押印
父母が離婚しており、一方のみが親権者 その親権者が単独で申立て、記名押印
父母が離婚後も、双方が親権者 原則として父母が共同で申立て、連名で記名押印
親権行使者が指定されている場合(婚姻中・離婚後とも) 指定された父母の一方が単独で申立て、記名押印(親権行使者の指定を証する書面を添付)

添付書類の欄

名の変更許可申立書の添付書類欄
添付書類の欄

添付書類の欄には、申立書に添付する戸籍などの書類を記入します。あらかじめ印字されている書類は、実際に添付する項目のチェック欄に印を付けます。

戸籍謄本(全部事項証明書)

申立人の現在の戸籍全部事項証明書を添付し、「申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)」の欄にチェックを入れます。

申立人が15歳未満の場合も、名を変更する本人である子どもの戸籍全部事項証明書を添付します。

名の変更の理由を証する資料

正当な事由を裏付ける証拠資料を添付し、「名の変更の理由を証する資料」の欄にチェックを入れます。

その他の書類を添付する場合

住民票や戸籍の附票など、あらかじめ申立書に印字されていない書類を添付する場合は、空欄に書類名を書き加えます。

添付書類の欄に記載されていない書類であっても、審理の過程で家庭裁判所から追加の提出を求められることがあります。

申立人・法定代理人の欄

名の変更許可申立書の申立人と法定代理人の欄
申立人・法定代理人の欄

申立人の欄には、名を変更する本人の本籍、住所、氏名、生年月日、職業または在校名を記入します。申立人が15歳未満の場合でも、申立人となるのは名を変更する本人であるため、子どもの情報を記入します。

本籍の欄

現在の戸籍全部事項証明書に記載されている本籍を、そのとおりに記入します。本籍は住所とは異なるため、戸籍全部事項証明書を確認しながら記入します。

住所と連絡先の欄

申立人が現在生活している住所とその郵便番号を記入します。あわせて、平日の日中に裁判所からの連絡を受けられる電話番号を記入します。携帯電話の番号でも構いません。

住民票上の住所と実際の居住地が異なる場合は、裁判所からの書類を確実に受け取れる住所をどのように記入するか、申立先の家庭裁判所へ確認します。

氏名・生年月日・年齢の欄

氏名の欄には、変更を希望する新しい名ではなく、現在の戸籍に記入されている氏名を記入します。フリガナも、現在の氏名の読み方を記入します。

生年月日は該当する元号に丸を付け、年月日と申立時の年齢を記入します。

職業または在校名の欄

就業している場合は「会社員」「公務員」「自営業」など、現在の職業を簡潔に記入します。就業していない場合は「無職」と記入します。

学生の場合は、学校名ではなく「高校生」「大学生」など、在学状況を簡潔に記入すれば十分です。幼児などで職業や在校名がない場合は、無理に記入する必要はありません。

申立人が15歳未満の場合の法定代理人欄

申立人が15歳未満の場合は、法定代理人欄に、親権者などの本籍、住所、氏名を記入します。あわせて、「父」「母」「後見人」のうち、法定代理人の資格にあたるものに丸を付けます。父母が共同で申し立てる場合は、父母双方についてそれぞれ記入します。

法定代理人の本籍や住所が申立人と同じ場合は、「申立人の本籍と同じ」「申立人の住所と同じ」と記入することもできます。

申立人が15歳以上の場合は、法定代理人欄には記入しません。

申立ての趣旨の欄

名の変更許可申立書の申立ての趣旨欄
申立ての趣旨の欄

申立ての趣旨の欄には、現在の戸籍上の名、変更を希望している名、現在の戸籍上の名のフリガナ、希望している名のフリガナを順に記入します。

「戸籍上の名」の欄には、現在の戸籍に記載されている名を記入します。「希望している名」の欄には、変更後に戸籍へ記載したい名を正確に記入します。

戸籍上の名や希望している名が、ひらがなまたはカタカナだけであっても、この欄のフリガナは省略せず、それぞれのフリガナを記入します。ただし、現在の戸籍に振り仮名がまだ記載されていない場合は、戸籍上の名のフリガナの部分に何も記入する必要はありません。

この欄には、名を変更したい理由は記入しません。変更を希望する理由や事情は、次の「申立ての理由」の欄に記入します。

申立ての理由の欄の書き方

名の変更許可申立書の申立ての理由欄
申立ての理由の欄

申立ての理由の欄には、申立てに至るまでの経緯、現在生じている不都合・支障、名を変更する必要性などを具体的に記入します。

申立てに至る経緯を整理する

まず、新しい名前を名乗ることになった事情と、それが現在までどのように続いてきたかを説明します。また、名の変更の手続きをしようと決心した理由も簡潔に説明することが望ましいです。

現在の支障と名を変更する必要性を書く

次に、現在どのような支障が生じているかを具体的に記入します。単に「困っている」「変更したい」と書くだけではなく、どのような場面で、どのような問題が生じているのかを説明します。

あわせて、その支障を解消するために、なぜ戸籍上の名を変更する必要があるのかも説明します。

感情的な訴えだけでは、正当な事由にはなりません。経緯や支障を、裏付けとなる事実や資料に基づいて具体的に記入します。

欄に収まらない場合は別紙を使う

申立ての理由がこの欄に収まらない場合は、「別紙のとおり」と記入し、理由をまとめた別紙を添付します。

証拠資料と記載内容を対応させる

申立の理由は、添付する証拠資料の内容で裏付ける必要があります。証拠資料から確認できる事実も踏まえて、申立ての理由を具体的に整理します。

作成時の注意点

申立書の作成を終える前に、次の点をあらためて確認します。

  • 説明が抽象的すぎると、どのような事情があり、なぜ名の変更が必要なのかが家庭裁判所に伝わりません。申立てに至る経緯や現在の支障は、具体的な事実に基づいて記入します。
  • 複数の事情を盛り込みすぎると、申立ての中心となる理由が分かりにくくなります。事情が複数ある場合でも、主な事情を中心に整理し、関連する事情を補足する形で記入します。
  • 申立書に記入した内容が、添付する証拠資料の内容と一致しているか、最後に確認します。
  • 事実を誇張したり、実際にはない事情を記入したりすると、家庭裁判所から追加の資料提出を求められたときに、その裏付けができず、対応に困ることになります。

提出前の確認

申立書を家庭裁判所へ提出する前に、提出先、必要書類、費用、書類の控えについて確認します。

  • 申立人の住所地を管轄する家庭裁判所を確認します。
  • 申立書、戸籍全部事項証明書、証拠資料、その他必要な公的証明書がそろっているか確認します。
  • 申立てには、必要な収入印紙と郵便切手を準備します。
  • 戸籍全部事項証明書は原本を提出します。原本の返還を希望する場合は、返還を受けるための手続(原本還付)に必要な準備をします。
  • 証拠資料は原則として写しを提出し、提出した資料と同じ内容の控えを手元に残します。
  • 申立書を含む提出書類一式についても、提出前に控えを残します。

申立書は、家庭裁判所の窓口へ持参するほか、郵送で提出することもできます。提出方法は、申立先の家庭裁判所の案内を確認してください。

認められないときの対応

家庭裁判所から申立ての取下げを検討するよう促された場合や、名の変更許可の申立てが却下された場合は、裁判所がどの点を問題としているのかを確認したうえで、今後の対応を判断します。

取下げを勧められた場合

審理の途中で、現在の内容では許可が難しいとして、家庭裁判所から申立ての取下げを検討するよう促されることがあります。

取下げを勧められた場合は、すぐに応じる必要はありません。どの点が不足しているのかを確認して、補充できる説明や新しい証拠資料がないかを検討します。

必要な補充ができない場合は、無理に審判を待たず、申立てを取り下げることも選択肢の一つです。取下げをせずに審判を受けることもできますが、その場合は却下の可能性が非常に高いです。

却下審判に不服がある場合

名の変更許可の申立てが却下され、その判断に不服がある場合は、即時抗告をすることができます。

即時抗告は、却下の審判書を受け取った日の翌日から2週間以内に申し立てる必要があります。期間が短いため、審判書を受け取ったら、却下された理由を確認して早めに対応を判断します。

即時抗告では、同じ主張を繰り返すだけではなく、家庭裁判所の判断のどこに問題があるのかを整理し、適切な反論や証拠資料を補充します。新たな証拠や適切な反論がない場合は、判断が変わる可能性は低く、あえて即時抗告をしない方がよいこともあります。その場合は、時間を置いて状況が変わってから、あらためて申立てをすることも選択肢になります。

再申立てを検討する場合

申立てを取り下げた場合や、却下審判が確定した場合でも、その後の事情に変化があった、または新たな証拠資料が見つかった場合は、あらためて申し立て、許可を得ることができるかもしれません。

ただし、前回と同じ事情、同じ証拠資料では、判断が変わる可能性は限りなく低いです。取下げを勧められた理由や却下された理由を踏まえ、新たな事情、追加できる証拠資料、時間の経過による状況の変化などがあるかを整理します。

即時抗告と再申立てのどちらを検討するべきかは、裁判所の判断内容や、その後の事情によって異なります。

まとめ

名の変更許可の申立てには、申立書のほか、戸籍などの公的証明書と、正当な事由を裏付ける証拠資料が必要です。申立人が15歳未満の場合は、法定代理人が申立てを行います。

申立ての趣旨の欄には、現在の戸籍上の名と変更を希望する名に加えて、それぞれのフリガナを記入します。名がひらがなやカタカナだけであっても、フリガナを省略しません。

申立書の各欄は、記入する内容や証拠資料との整合性が求められます。特に申立ての理由の欄には、申立てに至るまでの経緯、現在生じている不都合・支障、名を変更する必要性を、証拠資料から確認できる事実に基づいて具体的に記入することが重要です。

作成した申立書は、提出前に必要書類、費用、提出書類の控えがそろっているかを確認したうえで、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所へ提出します。

名の変更許可申立書に関するよくある質問

記名押印欄の印鑑は、認印でもよいですか?

認印で十分です。ただし、いわゆるシャチハタは避けます。外国在住で印鑑が手元にない場合は署名のみでも問題ありません。

戸籍全部事項証明書は、いつ取得したものを使えばよいですか?

家庭裁判所への提出書類は、発行から3か月以内のものが必要です。申立ての直前に取得しておくと安心です。

申立て後に、希望する新しい名前を変更することはできますか?

申立書に記載した新しい名前は、申立ての中心的な内容の一つです。申立て後に希望する名前を変えることは想定されておらず、内容が二転三転すると、却下につながったりすることがあります。

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