外国人親の氏へ日本の戸籍の氏を変更する手続

外国人親の氏への変更の手続

外国人の親を持つ日本国籍の方は、日本の戸籍の氏を、裁判所の許可を得て、外国人親の氏へ変更することが出来ます。

家庭裁判所の許可を得て、市区町村へ戸籍の届をすると、外国人親の氏の単独の戸籍が新しく作られます

変更できる外国人親の氏

新しく変更できる氏は、戸籍の父母の欄に記録されている外国人の親の氏(基本はカタカナ、中国、韓国、台湾等漢字がある国は漢字の場合もあります)が原則です。

基本は記録されているとおりの氏になりますが、いくつか例外があります。

  • 父母の欄に漢字の氏名が記録されている場合
  • 父母の氏が複数ある場合で、そのうち子供が名乗る氏が一つの場合
  • 父母が日本在住で、日本風の通称氏を名乗って生活している場合
  • 戸籍に記録された父母の氏のカタカナ表記に軽微な間違いがある場合
  • 父母の母国で、氏の表記が男女で異なるような場合
  • 父母が日系外国人の場合で、日系の氏の場合

父母の欄に漢字の氏名が記録されている場合

中国等の漢字が使われている国の親の場合、戸籍の父母の氏名を漢字で記録することができます。

この場合は、子供の新しい氏に、漢字の父母の氏を選ぶことができます。

ただし母国の漢字が日本の戸籍に使えない漢字の場合は、読みかえることになります。

父母の氏が複数ある場合で、そのうち子供が名乗る氏が一つの場合

スペイン語やポルトガル語が母語の国等では、子供の氏は父と母の氏をあわせた氏になります。

当然親の氏は、親の父母の氏をあわせた氏になりますが、子供は片方の親の父方の氏をそれぞれ引き継ぐことが多いです。

日本の戸籍では、親の本国法で親から引き継ぐ氏だけを選ぶことができます

詳細は、「子の氏をスペイン、ポルトガル語圏の親の氏へ変更する」の記事をご覧ください。

父母が日本在住で、日本風の通称氏を名乗って生活している場合

この場合は、事情次第で親の通称氏を名乗ることができます。

詳細は、「子供の氏を外国人親の通称氏へ変更する」の記事をご覧ください。

戸籍に記録された父母の氏のカタカナ表記に軽微な間違いがある場合

昭和の中盤までは、カタカナの「ヴ」や「ァ」、「ィ」、「ッ」等を戸籍に使うことが出来ませんでした。

その後、戸籍法の改正で使うことが出来るようになりました。

こういった場合、戸籍の父母欄では、「ブ」や「ア」、「ツ」となっている場合は、直接「ヴ」、「ァ」、「ッ」等にすることができます。

しかし、本来のカタカナ表記と大きく違っている場合は、戸籍訂正の手続きとあわせて、手続きをすることになります。

詳細は、「子の氏を外国人親の正しい氏へ直接変更する手続」の記事をご覧ください。

父母の母国で、氏の表記が男女で異なるような場合

東欧等、男性か女性かで氏の接尾辞が異なる国があります。

この場合は、日本人の子供の性別にあわせた接尾辞の氏にすることが出来ます。

詳細は、「子供の氏を東ヨーロッパ等の国の親の氏に変更する」の記事をご覧ください。

父母が日系外国人の場合で、日系の氏の場合

日系外国人で日系の氏の方でも、日本の戸籍にはカタカナで氏名が記録されます。

しかし、その方の日系の氏の漢字を証明できる場合は、その日本人の子供は、直接、その漢字で新しい戸籍を作ることが出来ます。

外国人親の氏への変更許可の手続き

外国人親氏への変更許可は、裁判所の許可を得た後、市区町村に戸籍届(外国人親の氏への変更届)をすることになります。(戸籍法107条4項

  • 第百七条 やむを得ない事由によつて氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。
  • 中略
  • 4 第一項の規定は、父又は母が外国人である者(戸籍の筆頭に記載した者又はその配偶者を除く。)でその氏をその父又は母の称している氏に変更しようとするものに準用する

外国人親の氏への変更の裁判所の許可

外国人親の氏への変更許可は、氏の変更許可の手続を準用しているので、普通の氏の変更と同様に、やむを得ない事由が必要とされています。

しかし、外国人親の氏への変更許可の裁判所手続では、厳しくやむを得ない事由を審査していません。特に日本人の子供が未成年の場合は、許可を得る事は簡単です。

子供が成人している場合であっても、やむを得ない事由よりも、許可出来ない事情がないことほうが重要視されていると考えられます。

ただし、変更後の氏が上にある例外的な場合は、例外的に許可できることを証明することが大変です。

裁判所が許可できない事情

一般的な氏の変更と同様に、犯罪歴や破産歴を隠す目的であったり、大きな借金を抱えているような場合や、結婚や養子縁組等で頻繁に氏を変更しているような場合は許可されない可能性が高いです。氏の変更許可申立書

氏の変更許可申立書には、本人の本籍、住所、氏名、生年月日や外国人親の氏へ日本の戸籍の氏を変更したい理由を記入します。

手数料は800円で、800円分の収入印紙を申立書をはります。

切手は1,500円~2,000円程度で、管轄する家庭裁判所ごとに決まっています。

戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)

家庭裁判所に提出する戸籍は、最新の戸籍謄本です。

管轄の裁判所によっては、最新の戸籍謄本だけでなく、以前の戸籍謄本(除籍・改正原戸籍謄本)を求められることもあります。

申立後の手続の流れ

申立をした後は、裁判所の審査が始まります。

審査は戸籍の内容のチェックや外国人親の氏へ変更することを許可できない事情がないか等を、書面や面談で確認します。

特に問題がない人の場合は、申立をした後2週間くらいで、外国人親の氏へ変更を許可する審判書が書留郵便で送られてくることもあります。

外国人親の氏へ変更許可の後の戸籍届

許可の審判書を受け取った後、2週間が経つと外国人親の氏へ変更許可が法律上確定します。

確定した後に、裁判所から確定したことの証明書を受け取ります。

その後、外国人親の氏への変更届、許可の審判書と確定証明書を市区町村の戸籍窓口に提出します。

外国人親の氏へ変更許可申立手続の代行

当事務所では、外国人親の氏へ変更許可申立の手続の代行の依頼を受けています。

外国人親の氏へ変更許可申立の手続の代行の内容

ご依頼を受けた後は、以下のことをしています。

  1. 戸籍の収集
  2. 外国人親の氏への変更許可申立書の作成と提出の代行
  3. 家庭裁判所へ同行
  4. 許可された後の確定証明書の取得の助言
  5. 市区町村に提出する氏の変更届の作成又は助言

外国人親の氏への変更の手続の費用や報酬

外国人親の氏への変更手続の費用や報酬については、「外国人親の氏への変更手続の期間と費用」の記事をご覧ください。

外国人親の氏へ変更許可申立手続のご相談

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帰化をして日本になった方の氏名の変更

日本に帰化した後の氏名の変更手続きについては、コラム「帰化した人の氏名の変更」をご覧ください。