国際結婚と日本人配偶者の氏
日本人が外国人と結婚した時は、その日本人の氏は変わりません。
これは、氏の概念や家族に関する法律が、日本と外国では異なっているので、一律に婚姻届に書かれた外国人配偶者の氏を、日本の氏と同じものだと判断できないからだと言われています。
しかし、婚姻成立の日から6か月以内であれば、戸籍の届出をするだけで、外国人配偶者の氏に変更することができます。(戸籍法107条2項)
この時に選べる氏は、日本人配偶者の戸籍に記録された配偶者の氏だけで、原則カタカナで表記されています。
また、外国の方式で婚姻している場合は、その外国での婚姻成立の日から6か月以内に届け出なければならず、日本の婚姻届を提出した日ではありません。
一般的な国際結婚と氏の変更については「国際結婚・離婚と日本人の氏、苗字」の記事をご覧ください。
スペイン、ポルトガル等の国の氏の制度
スペイン、ポルトガルやブラジル、メキシコ等の中南米のスペイン語・ポルトガル語の文化の国では、父母それぞれの父系の氏をひとつづつとって、父の氏+母の氏(又は母の氏+父の氏)が自分の氏になります。
当然、父も母もその両親の氏が並んだ氏ですが、両親から引き継いでいる氏は父方の氏であることがほとんどです。
例えば、ペルーの元大統領フジモリさんの場合は、本名がフジモリ イノモトという氏だそうで、父方の氏がフジモリで、母方の父系の氏がイノモトです
また国によって違いがありますが、婚姻時に自分の氏を配偶者の父方氏+自分の父方の氏(又は配偶者の父方氏+自分の父方の氏)を選べる国が多いです。(まったく変更できない国もあります)
この場合、日本人配偶者は戸籍法107条第1項の手続をして、配偶者の本国法に従った結合姓・複合姓を選ぶことができます。
詳細は「国際結婚と結合姓・複合姓(二重姓・ダブルネーム)」をご覧ください。
また戸籍先例では、外国人配偶者の氏のうち、子供に引き継がれる父系の氏のみに変更することができ、同じように戸籍法107条第1項の手続をする必要があります。
手続の注意点
一般的な氏の変更許可手続(戸籍法107条第1項)に必要な書類のほかに、配偶者の母国の法律や行政規則、慣習等で、婚姻時に自分の氏を配偶者の父方氏+自分の父方の氏(又は配偶者の父方氏+自分の父方の氏)にすることができる裁判所に証明する必要があります。
具体的には、母国の法令の原文や、市役所や市民登録機関のパンフレットやホームページ、慣習であればこれを説明できる文献等です。
また、これを日本語に翻訳する必要があります。翻訳は誰がしても問題ありませんので、ご家族の翻訳でも大丈夫です。
外国人配偶者が日系人の場合
外国人配偶者が日系人で日系の氏の場合も、原則戸籍に記録される氏はカタカナで表記されます。
そうであっても、日系の父、祖父、曾祖父の日本の氏の漢字が昔の記録から判明するときは、裁判所の許可を得て、外国人配偶者の氏へ変更する際に氏を漢字にすることができます。
しかし、日本人の配偶者が、日本人の氏+外国人配偶者の氏の漢字表記の結合姓・複合姓にできるかというと、疑問があります。
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